| WEEKLY PICKUP 073 BILLY COBHAM |
| WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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WILLIAM E. COBHAM |
Rock Standard 066 『RETURN TO FOREVER』からのジョー・ファレル繋がりで無理やりといえる作品をご紹介します。この作品は、ジャズ・ドラマーのビリー・コブハムの初リーダー作品です。ビリー・コブハムといえば1971年から73年まで在籍したマハヴィシュヌ・オーケストラでの活躍が、ロック少年には当時有名でした。それ以前は、ランディ、マイケルのブレッカー兄弟とともにドリームスというバンドに参加したり、マイルス・デイヴィスの『ビッチェズ・ブリュー』のCD化の際のボーナス・トラックにも参加しています。 発売当時、クロスオーバーなる言葉が徐々にロック・ファンの間にも浸透してきた時代でした。もちろん、それまでもクロスオーバー的なアプローチをしているアーティストはいましたが、ひとつのジャンル的な扱いを受け始めたのが、このころだったのではないでしょうか。私も時代の潮流に乗らなくてはと思い、前出の『RETURN TO FOREVER』を買いクロスオーバーの魅力の虜になったのです。そして、この作品をレコード屋で視聴したときの驚きようと言ったら半端ではなかったのです。ロックよりも激しいジャズ、こんなものが存在したなんて。さっそく‘お持ち帰り’になったのです。 買ってよかったという作品の素晴らしさに加えて、この作品にはロック界では有名ではなかったヤン・ハマー(その後、ジェフ・ベックとの共演でロック界でもメジャーになりました)、まったくの無名だったトミー・ボーリン(彼のソロ作品『TEASER』ではヤン・ハマーと2曲共演)が参加しており、話題に上る3年後くらいには、私は昔から注目していたんだと言わんばかりに、この作品のことを友達に薦めていたのです。 アルバムは、ビリーとヤンの激しいバトルのイントロから始まります。このバトルは最後まで続くわけですが、テクニックといいスピード感、ハードさといい、とにかく凄まじいの一言です。�↓イ砲蓮▲肇漾次Ε棔璽螢鵑六臆辰靴討い泙擦鵑�、ヤン・ハマーとトミー・ボーリンが参加している曲では基本的に向かって左スピーカーがヤンで右がトミーになっています。しかし、この最初の作品の始まりの時点ではヤンは右スピーカーから始まります。そして、トミーのギターが始まるまでに徐々に左に移行していくという粋なアレンジがなされています。聴き始めの頃はわからずにヤンのシンセとトミーのギターが、ぐじゅぐじゅでギターなのかシンセなのか判別しにくかったのですが、10回目くらいに最初のカラクリに気づき、後は楽になりました。ここでのトミーは、生涯一ではないかと思うような豊かなフレーズとテクニックを披露しているのですが、ギター・シンセともいえるような奏法も披露しています。そういうこともあり、ど素人の私にはどっちがひいてるのか判別できない部分もあったのです。 2曲目は、ビリーのソロで1分30秒ほどのa)とジョー・ファレル、ジミー・オーエンスの管楽器をフィーチャーしたb)からなる作品です。ビリーのリーダー作品なので、このような書き方は少し変かもしれませんが、裏方であるビリーとロン・カーターの力強さが素晴らしいのです。それを従えたキレの良いソプラノサックスとフリューゲルホーンがジャズ方式でそれぞれのソロを披露しタイトルどおりの神秘的で広がりのある世界が繰り広げられます。3曲目も1分40秒ほどのビリーのソロによるa)とグループによるb)とで構成されています。b)は、1曲目同様の激しいバトルでの展開です。タイトルもマタドールなのでぴったりの展開ですが、1曲目よりはやや軽快でキャッチーな感じでスピーディーに展開していきます。ビリーのドラミングはもちろん、トミーのギターにも注目です。4曲目は、シンセなどを多用したタイトルどおり浮遊感のある幻想的な始まりかたをするヤン・ハマーのキーボード群が大活躍する作品です。地を這うようなベースも印象的で、不気味に蠢く空模様を現しているようなキーボードや雷光のようなトミーのギターに雷鳴のごときビルのドラムなど緊張感溢れる作品に仕上がっています。 美しいアコースティックピアノの調べの商品a)で始まる5曲目。b)では、ラテン感覚溢れるジャズが楽しめます。心地良さが残る軽音楽風の作品で、しばしのティー・タイムといったところでしょうか。6曲目は、現代音楽(死語かな?)風で『未知との遭遇』に出てきそうな宇宙との交信のような1分程度のa)につづき、b)ではファンキーでソウルフルな演奏が楽しめます。わかりやすくいうとファンキーなスタッフといったところでしょうか。タイトルどおり気品を感じさせる作品で、最後にはトミー独特のギターのトーンも聴かせてくれています。 最後にひとつ。ビリー・コブハムの所属会社の名前が「BILHAM COBLY PRODUCTIONS,INC.」、そうBILLY COBHAMを半分ずつくっつけたものなのです。この遊び心が、なんともアメリカ的でいいのではないでしょうか。 |