| WEEKLY PICKUP 053 JOHN SIMON |
| WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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ウッドストック・サウンド、そう形容されるアーティストたちがいます。もちろんボス的な存在はボブ・ディラン、そして彼を支えたザ・バンド。彼らが小さな田舎町のウッドストックに居を構えて発表した『THE BASEMENT TAPES(1968)』(海賊盤が69年に出回ったため75年発売)『MUSIC FROM BIG PINK(1968)』により、その町はアメリカン・ルーツ・ロックの聖地的な場所になり、数多くのアーティストを排出してきました。地味ではありますが、味わい深い作品の数々は、不思議なことに本国アメリカよりも日本において人気が高く、CDによる再発も地味ながら続いています。しかも、日本のみの再発というのもかなりあります。この作品は、1976年頃に再発されたのを見て買ったのですが、CDは昨年にVIVID SOUND CORPORATIONからグッド・タイムス・ロック・コレクションのシリーズの一枚として発売されました。 その日本で人気の高いウッドストック・サウンドを作り出していた男が、今回紹介するジョン・サイモンなのです。CBSの製作担当だった彼は、PP&Mのピーター・ヤーロウとともに映画音楽を手がけることになりウッドストックを訪れます。そこで当時ボブ・ディランのマネージャーであったアルバート・グロスマン(後のベアズヴィル・レコードの創設者)を紹介されます。グロスマンの傘下でさまざまな町の住人とのセッションを重ねていくうちにジョン・サイモン自身もスーツを脱ぎ捨ててウッドストックの住人となるのです。彼はプロデューサーとしてだけでなくミュージシャンとしても数々の作品に名前を連ねています。そのプロデューサーとしての代表作は何と言っても前述の『MUSIC…』やS&Gの『BOOKENDS』ですが、ミュージシャンとしての才能を発揮しているのが『THE BAND』です。この作品の製作時期に平行してソロ・アルバムの準備がなされていたようです。他にもエリック・クラプトン、デイヴ・メイソンなど名演は数知れません。 ウッドストック人脈を駆使して(?)作られたソロ・アルバムは、レオン・ラッセルの参加したスローなナンバーから始まります。古き良きアメリカ(経験したことはないですが)を連想させるノスタルジックなムードが抜群な作品です。2曲目はピアノによる弾き語りです。けして上手いとはいえないジョンの歌声が妙にすんなり心の中に入ってくる短い作品です。3曲目はジョン・ホール(後にオーリアンズを結成)を中心にしたサンダーフロッグのバックによる作品。ジョン・ホールの卓越したギター捌きとガース・ハドソンのサックスなど重厚なサウンドを楽しんでください。4曲目は、カントリーやジャズなどの要素を最大限に使い、まるで映画の一場面のような作品に仕上げています。5曲目は、4曲目の曲と同様の作品をメンバーを代えて演奏しています。6曲目は浮遊感のあるメロディが印象的なピアノの弾き語りによるジャズっぽい美しい作品です。矢野顕子的でもあります。 ポール・ハリスのオルガンとジョン・ホールのギターがヘタウマのヴォーカルとマッチするスローなナンバーの6曲目。スローではありますがリラックスした中にも緊張感のある演奏を聴かせてくれる玄人であることを証明している作品です。特に後半は涙物です。サンダーフロッグのメンバーを中心にしたバックに支えられる7曲目は、またもやジョン・ホールの卓越したギター捌きが楽しめる作品です。ジョン・サイモンのヴォーカルを包み込むようなやさしく響くギターの音色がたまりません。8曲目は、まったり系のやさしい作品でタイトルのヴェルヴェットのような柔らかな光に包まれるような曲です。ポール・ハリスのオルガンとジョン・ホールのギターがドラマティックに展開される9曲目。エディ・ヒントンのウクレレのようなギターの音色とストリングスが耳に残る小品の��。リタ・クーリッジとボビー・ホウィットルックがバックコーラスに参加した軽快なトラッドっぽい作品でアルバムは終了です。ホイッスルによる汽車の汽笛が印象的で楽しい作品です。 実はこの作品、ザ・バンドのロビー・ロバートソンとハワイ滞在中にほとんどの作品が書かれているのですが、ロビー・ロバートソンの参加がないのです。この時代の彼のギターはあくが強かったためなのでしょうか、確かに彼のギターはこの作品には合わないような気がします。4曲目などはロビーとの共作なのですが……。 |