| ROCK STANDARD 067
PAUL BUTTERFIELD'S BETTER DAYS |
| ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています |
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『WEEKLY PICK UP 062 : BOBBY CHARLES』でウッドストック(ベアズビルを含む)に新しい風を吹き込んだ人間が二人いました、と紹介しましたが、ボビー・チャールズ同様に大きな影響を与えたもう一人のアーティストがポール・バターフィールドだったのです。もちろん、1960年代後半からポール・バターフィールズ・ブルース・バンドとしてロック界に多大な影響を及ぼしてきた彼ですが、1972年にグループを解散させた時点ではオリジナル・メンバーは彼一人という状態で音楽的にも行き詰っていたようです。そうした精神的な面の保養もかねてということかどうかはわかりませんが、彼が新天地として選んだのがアーティストの桃源郷であったウッドストックだったのです。 そして、そのウッドストックを中心に活動していたメンバーと素晴らしい作品を残してくれることになるのです。ブルースへのこだわりを捨て(?)自由に好きな音楽をやろうということで集まった中心メンバーが以下の二人です。 ジェフ・マルダー:ジム・クウェスキン・ジャグ・バンドで活躍し、68年にバンドが解散した後は、当時夫婦だったマリア・マルダーとのデュオ作品を2作発表しています。どちらもアメリカン・ルーツ・ミュージックを探求する優れた作品です。 エイモス・ギャレット:カナダのカントリー・フォークデュオだったイアン&シルヴィアが69年に結成したグレイト・スペックルド・バードに参加しカントリー・ロックの名盤を残し、そのグループから発展したハングリー・チャックで活躍したりジェフ&マリア・マルダーの作品に参加したりします。 ブルース・ハープの名手であるP.バターフィールド、ルーツ・ミュージックの探求に余念のなかったG.マルダー、フォークやカントリーからR&Bなど独自の世界観を持った名うてのギタリストであるA.ギャレット、ニューオリンズ出身でドクター・ジョンなどと交流がありR&Bやゴスペルに精通していたピアニストのロニー・バロン、これらを見渡すと必然的にオール・アメリカン・ミュージックという図式が出来上がるのです。 まさに、スーパー・セッションと呼べる演奏が楽しめるこのアルバムは、ブルースをベースにしながらも非常にリラックスした作品に仕上がっています。1曲目は、ブルース・バンド時代の名盤『イースト・ウエスト』でも一曲目に収録されているロバート・ジョンソンの作品「WALKIN' BLUES」のニュー・バージョンです。『イースト・ウエスト』では泥臭ささを前面に出す感じでしたが、本作ではキーボードとヴォーカルに重点を置いてラフな感じに仕上がっています。2曲目は、パーシー・メイフィールドの作品で、ジェフの哀愁に満ちたR&B的なヴォーカルに感動し、切ないエイモスのギターに涙するという名曲です。ビッグバンド風のホーン・アレンジもいかしています。3曲目は、唯一のバンド・オリジナルの作品でロニーの手になるものです。ヴォーカルもロニーがとっておりニューオリンズ出身であることを髣髴とさせる粘りのあるヴォーカルが魅力です。ポールのハープやホーンに時折入るコーラスなどノスタルジックな作品です。4曲目は、B.チャールズの作品で、彼らしい牧歌的なカントリー・バラード。哀愁感のあるブルース・ハープが良く似合います。 アナログではB面最初となる5曲目は、ゼムもカヴァーしているビッグ・ジョー・ウィリアムスの作品で、原曲に比べるとファンク色の強いアレンジがなされておりポールとジェフの小気味の良いコーラスも魅力のひとつになっています。コーラスとフィドルでマリア・マルダーが参加してます。6曲目は、ジャニス・ジョプリンの遺作である『パール』にインスト作品として収録されていることで有名なニック・グレイヴナイツの作品ですが、ここではオリジナルの歌詞とメロディが使われています。ポールとジェフのヴォーカルでニューオリンズ風のアレンジなっています。7曲目は、ジェフのヴォーカルとハープがアコギをバックに展開するシンプルなマッタリ系のブルース・ナンバーです。 ツェッペリンの『プレゼンス』に収録されていることでロック・ファンにも有名な8曲目は、ブラインド・ウィリー・ジョンソン作による正確にはゴスペル・ソングです。その福音伝道師だったウィリーは、ギターの弦をスライドさせるのに護身用のナイフの柄を使っていたといわれていてブリキの缶をギターにぶら下げて「流し(伝道)」をやっていたそうです。ただ、このアルバムに収められている曲は、ニーナ・シモンのカヴァーのようですが、重厚なコーラスが印象に残ります。最後の作品��(CDではボーナス・トラックあり)は、ブルース・バンド時代のベーシストのロッド・ヒックスの作品です。唯一アップ・テンポの作品ですが、すごい力量の持ち主たちばかりなのでキマル!キマル!ロニー・バロンのホンキー・トンク調のピアノもご機嫌です。 バンド名義では、セカンドとして『It All Comes Back』があります。また、未発表曲が2曲含まれる73年ウインターランド・ボールルームでの未発表のライヴ作品も発売されています。 |