WEEKLY PICKUP 003 HYDRA (incl. Discography) |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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WEEKLY PICKUPを飾るにふさわしい、超ど級のC級バンドです。アメリカのキャプリコーンレーベルからデビューしたバンドのセカンドアルバムです。この作品を知るきっかけになったのは、数少ない洋楽番組でありエアー・チェックの対象としては超A級番組だったのです。70年代にNHKのFM放送で日曜夕方6時からオンエアーされていた洋楽番組で聴いたのが最初だったんですが、番組終了後すぐにレコード屋に直行しました。今と違って情報量の少ない時代、この番組は、田舎の子供にとっては大事な番組でした。ここで知ったB級、C級バンド(今は、ということです)もミスター・ビッグ(UK)やパリスなどたくさんありますので、そのうちPICKUPします。 1960年代の後半から活動していたメンバーですが、スティーヴとスペンサーは、Strange Brew、ウエインは、Nickelodianというバンドの出身で 1969年にOsmosis というバンドで一緒になります。Osmosisが解散状態になったのかどうかはわかりませんが、1972年に3人は新しいベーシストのオーヴィルを加えてバンドがスタートします。当時から、地元ではライヴ・バンドとしての評価は高く人気だったそうです。そして、1973年に晴れてキャプリコーンとの契約にこぎつけたのです。 キャプリコーンといえばオールマンブラザーズバンドが有名でサザンロックの老舗的存在です。ということでサザンロックかといえばそうではないのです。南部の泥臭さは残しつつも元気いっぱいの痛快アメリカンハードロックなのです。ファーストも新鮮さがあり出来の良いアルバムなのですが、ホーンセクション(当時流行りだった)を導入した作品(2曲)などではプロデューサーであるDan Turbevilleの思い入れが強過ぎてしっくりとは言っていない感じがします。当然、ファンもライブ・バンドとしての彼らに対する期待度が大きくセールス的には成功とはいかなかったようです。後に、ウエインは『Danのミックスをバンドのメンバーは気に入ってはいなかった』ということを言っています。契約したての新人バンドには文句の言えない状況だったのでしょうね。 このセカンドはハイドラ・サウンドが完成したと断言できるほどの出来栄えなのです。プロデューサーもダンからジョニー・サンドリンになり彼のプロデュースがバンド本来のワイルドさとへヴィさを引き出しているとも言えます。変な小細工はやめて、まさに直球勝負といったところでしょうか。アルバムに針を落とすと一曲目からハード・ドライヴィングなロックンロールでノリノリになってしまいます。しかし、彼らの魅力はそれだけに止まらないのです。じっくり聴かせるタイプの作品にこそ、美しさを兼ね備えた彼ら独特のハード・ロックの魅力があるのです。その最高峰であるタイトル曲の「Land of Money」などは70年代の名曲に数えられてもよいくらいの涙の巨編です。国内盤は発売されていないので輸入盤を購入するしかありませんが、買って損のない捨て曲なしの名盤です。なぜ、日本で売れなかったのか不思議でなりません。全曲で、オールマン・ブラザーズ・バンドのチャック・リーヴェルがピアノとシンセサイザーで参加しているのも見逃せません。ハード・ドライヴィングな曲がほとんどですが、南部らしくR&Bの影響も感じられ、どっしりとした硬派系ロックが楽しめますよ。 ![]() ![]() ![]() |