WEEKLY PICKUP  079 DREAMS
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています
IMAGINE MY SURPRISE (1972)


  1. Calico Baby
  2. Why Can't I Find a Home
  3. Child of Wisdom
  4. Just Be Ourselves
  5. I Can't Hear You
  6. Here She Comes Now
  7. Don't Cry, My Lady
  8. Medicated Goo
  9. Imagine My Surprise
  • RANDY BRECKER : trumpet, fluegelhorn, vocals
  • MICHAEL BRECKER : tenor & soprano sax, flute
  • BARRY ROGERS : trombone, tuba, alto horn, vocals
  • BOB MANN : guitars, fluegelhorn, vocals
  • DON GROLNICK : keyboards, vocals
  • WILL LEE : bass, vocals
  • BILLY COBHAM : drums, percussion
  • STEVE CROPPER : guitar��
  • ANGEL ALLENDE : conga��


Produced by STEVE CROPPER
 その後の活躍が、あまりにも有名なため顧みられることがなかった作品の紹介です。私自身も日本盤のCDが発売になるとは思っていなかった作品でしたが、2008年の11月に『スーパー・プレミアム・シリーズ:Vintage in 70's』の第2弾のSUPER STAR編としてドリームスの2作品が日本初CD化されたのです。ファーストとセカンドの両方に中心メンバーとして参加しているのは、ランディ(sax)とマイケル(tp)のブレッカー兄弟とビリー・コブハム(ds)にバリー・ロジャース(tb)、エドワード・バーノン(vo)という面々。これだけでもすごいのですが、ファーストには、後に崇高なジャズ・ギタリストとして名を成すことになるジョン・アバークロムビーも準メンバーとして参加し、彼としては非常に珍しいロック的なアプローチでギターを披露しています。

 さて、素晴らしいメンバーが参加したドリームスというブラス・ロック・グループ(私的にはファンクなフュージョン・グループだと思いますが)は、CBSと契約後ブラッド・スエット・アンド・ティアーズ(BS&T)、シカゴといったブラス・ロック・バンドとして売り出されます。当時、ブラス・ロックは注目のカテゴリーだったわけですが、ドリームスのファースト・アルバム(→)は、ビルボード誌のポップ・チャートでは最高位146位と振るいませんでした。聴いていただくと一聴瞭然、ファンキーでロック的な要素も含んではいるもののキャッチーさには少々欠けているように思えます。特にジャズ系の人間が多いせいか(若かったせいか)アンサンブルよりもソロが目立ちアルバムとしてのまとまりには今一歩という感じです。(でも、買って損無しの秀作です。)

 商業的な成功が収められなかったからかどうかは分かりませんが、ロック系のミュージシャン二人が抜け、グループは再編されます。再出発となったグループには、フュージョン界で大活躍することとなるウィル・リー(b)、アレンジャー/プロデューサーとして大成するドン・グロルニク、マウンテンのメンバーとして来日するボブ・マンなどが参加し魅力ある布陣での再出発となったのです。

 さて、そろそろアルバムの紹介に移りましょう。一曲目は、グル―プの特色を最もよく表したブラス・ロック然とした作品で始まります。エンジェル・アレンデコンガで参加しキレの良いリズムをきざみ、プロデューサーのスティーヴ・クロッパーがワウ・グターで浮遊感をプラス、70年前後の特徴を持ったオルガンソロが花を添えるという時代を代表するような仕上がりになっています。二曲目は、美しいメロディのバラードでランディの作品です。ホーンのアレンジなどがどことなくシカゴに似てはいますが、力強いコーラスやさわやかなギター・ソロにピアノなど心和む仕上がりです。三曲目は、ピアノのリフが印象に残るファンキーな作品です。マイケルのソロがなかなか素敵で、他のブラス・ロックとは一線を画す作品でもあります。ウィル・リーがリード・ヴォーカルをとる四曲目は、都会的で洗練されたスロー・バラードです。霞に包まれた摩天楼が目に浮かんできそうです。人によっては夕闇に影を映す摩天楼かもしれません。五曲目は、ジャリー・ゴフィン&キャロル・キングのソングライター・コンビによる作品で64年にベティ・エヴェレットが歌った作品です。とくに、後半部のギターとベース、ブラス・セクションの絡み合いには原曲を超えた(無視した?)ものを感じます。かっこいい作品です。

6曲目からがアナログではB面になります。ジャズ、ロック、ファンクが一体になった都会的なセンスに溢れた大人のロックを聴かせてくれます。五曲目同様にラストのインスト部分がカッコいいのですが、短いのが「玉に瑕」。もう少し聴きたいぞ。七曲目は、優しいメロディのラヴ・ソングです。ウィル・リーが、なかなかの熱唱で聴かせてくれますし、サックスのソロが効果的に心に響いてくる好きな作品です。八曲目は、トラフィックのスティーヴ・ウィウッドの作品(69年)ですが、スティーヴのソウル感をうまく表現したアレンジがなかなか素敵でパワフルな仕上がりになっています。最後の曲は、ほのぼのとした浮遊感漂う印象の作品です。不安定でお世辞にも上手いとは言えない(笑)ランディのヴォーカルが微笑ましいのです。

 ブラス・ロック好きの中には、BS&Tの実験的な挑戦やシカゴのメッセージ性などと比較して劣っているように感じる方もいらっしゃるとは思いますが、これも一つのジャズからのロックへのアプローチとしてとらえれば素晴らしい作品だと思います。ファンキーなロックで斬新だった第二期ジェフ・ベック・グループのプロデュースで有名なスティーヴ・クロッパーがプロデュースであるため小気味良さが素晴らしい作品でもあります。

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