WEEKLY PICKUP  068 HUMBLE PIE
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています
SMOKIN' (1972)


  1. HOT'N NASTY
  2. THE FIXER
  3. YOU'RE SO GOOD FOR ME
  4. C'MON EVERYBODY
  5. OLD TIME FEELIN'
  6. 30DAYS IN THE HOLE
  7. a) ROAD RUNNER
    b) ROAD RUNNERS 'G' JAM
  8. I WONDER
  9. SWEET PEACE AND TIME
  • STEVE MARRIOTT : VOCALS, GUITAR, HARP, KEYBOARD
  • CLEM CLEMPSON : GUITAR, KEYBOARD, VOCALS
  • GREG RIDLEY : BASS, VOCALS
  • JERRY SHIRLEY : DRUMS, KEYBOARD
 スモール・フェイセズ出身のスティーヴ・マリオットとザ・ハード出身のピーター・フランプトンの双頭バンドだったハンブル・パイ。そのバンドに転機が訪れたのは1971年。実績のあるメンバーばかりだったのが災いしメンバーの意見を平等に反映した作品は、的の絞れていない作品としてリスナーには評価されたのでした。結成から既に3年が経っており発表した3枚のスタジオ録音作品はセールス的には満足の行く結果が残せませんでした。そして、彼らが選んだ道は、S.マリオットが得意とするブルージーでハードな路線だったのです。彼らの4作目に当たる『ロック・オン』は、そうした切羽詰った状況の中で発表され初の全米チャート・イン(全米118位)を果します。ついで、ライヴ作品の『パフォーマンス〜ロッキン・ザ・フィルモア』を発表するや人気に火が点き一流の仲間入りを果たすのです。とくに収録曲の「ノー・ドクター」はFM局(アメリカの話、日本ではもうひとつでした)を中心に大ヒットとなりました。

 バンドとしての認知度が上がったハンブル・パイですが、『パフォーマンス・・・・・・』が発売された時点では、自分の音楽的な方向性が受け入れてもらえなかったピーター・フランプトンがすでに脱退しており、前途にいくばくかの不安も抱えていたのです。そうした不安を払拭させてくれたのが、今回ご紹介する『スモーキン』なのです。P.フランプトンの後任ギタリストには、ベイカー・ルー〜コロシアムで活躍していたデイヴ‘クレム’クレムソンが加入し、彼らの全盛期のラインナップが固まったのです。

今回の作品には、珍しくゲスト・ミュージシャンが参加しています。アレクシス・コナー、スティヴン・スティルス、ドリス・トロイがそれですが、詳しいクレジットがないことと貧相な私の耳力のためどの曲で何をしているのかがはっきりとはわかりません。わかるのは、S.スティルスが��-bでハモンドオルガン、A.コナーが�イ忙臆辰靴討い襪�らいなものです。すいません。

これまでの、どちらかというと力ずくのハード・ロックとは違って、ある程度計算された(こじんまりという意味ではありません)感じのするハードでスピーディーな曲でアルバムは始まります。4人のうち3人までもがキーボードを使うので誰が弾いているかわかりませんが、スピード感を演出するキーボードなどのアレンジにバンドの意気込みや新しいスタイルが確立したことを十分感じ取ることができます。2曲目もバンド全員で書き下ろした作品。こちらもハードな作品ですが、こんどはワウワウ風のギター・アレンジが小憎らしい作品です。3曲目は、ガラッと変わってアコギによるトラディショナル・フォーク的な始まり方をする作品です。しかし、エレキが加わってくると次第にサザン・テイストあふれる泥臭い雰囲気に変化していきます。ここらあたりのアレンジにもバンドとしての進歩を感じると同時に、ブルース・ロッカーとしての面目躍如といった感じで好感が持てます。4曲目は、エディ・コクランで有名な50年代にヒットしR&Rのスタンダードとなった作品のカヴァーです。テンポを落としハードな味付けをした粋なアレンジが大好きです。5曲目はトラディショナル・ナンバーです。ラグタイム風のオールド・ミュージックですが、バンド・アンサンブルの素晴らしさとともに彼らの懐の深さに驚かされる作品でもあります。彼らとしては異色中の異色作。

6曲目は、シングル・ヒットした作品で女性コーラスを交えたパワフルなR&Bです。演奏スタイルがローリング・ストーンズに酷似しているのはご愛嬌です。7曲目は、1966年にジュニア・ウォーカー&オール・スターズ(ショット・ガンやホワット・ダズ・イット・テイクが有名です)がヒットさせた作品のカヴァーを a) で、オリジナル(?)を b) という構成です。ヒットしたオリジナルは、ジュニア・ウォーカーがサックス吹きということもありファンキーなサックスをフィーチャーしていますが、ハンブル・パイは、へヴィでダークにアレンジ。b)のオリジナルでも、S.スティルスのキーボードをフィーチャーしよりブルージーに展開しています。8曲目は、もともとルイ・アームストロングをはじめとする多くのアーティストにカヴァーされヒットしてきた作品ですが、なんと1944年に作られた作品だそうです。その有名作品を見事に彼ら流にアレンジ、ハンブル・パイの本質が現れた作品です。ギターやキーボードの泣きに加え腹の底から搾り出すようなヴォーカルがたまりません。最後の曲も��同様に聴き所の多い作品で、ラウドな雰囲気がスローなテンポとあいまって、えも言われぬハンブル・パイの世界を展開してくれているのです。

この作品の後、『イート・イッツ』『サンダーボックス』と傑作を発表していきますが、『ストリート・ラッツ』で息切れし休息に入ります。その後、スティーヴ・マリオットは、スモール・フェイセズやボブ・テンチをヴォーカリストに迎えてハンブル・パイを再結成し作品を発表しますが、さほど話題にならず1991年4月20日に寝タバコが原因で焼死というショッキングな最期を遂げてしまうのです。

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