| WEEKLY PICKUP 066 KOSSOFF KIRKE TETSU RABBIT |
| WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
![]()
|
1971年4月下旬から5月初旬(1週間滞在)にかけてのフリーの初来日は、山内テツ(ベーシスト)に意外な結果をもたらすきっかけになりました。イギリス遠征から凱旋したミッキー・カーチスとサムライにベーシストとして参加していたテツは、フリーのメンバーが滞在期間中にセッションを行い意気投合します(M.カーチスはP.コゾフと雑誌の企画で対談もしています)。そして、日本を旅立ったフリーのメンバーは最終公演地のオーストラリアで解散を決意、イギリスに帰国後それぞれの道を歩み始めます。P.ロジャースは日本で知り合った清水マチさんと交際を始め後に結婚という人生の大きな転機も生まれました。 P.ロジャースは日本のタバコの銘柄から名前をとった「ピース」を、A.フレイザーはトビーをそれぞれ結成します。残されたブラック・キャット・ボーンズ出身のP.コゾフとS.カークは日本で知り合ったテツにテキサス出身のキーボーディストであったラビットを加えた4人でバンドを結成し唯一の作品となった本作を発表します。ラビットという優秀なキーボーディストでありコンポーザーを得たことは、バンドにキーボーディストを加えたいと思っていたP.コゾフの念願でもあったといわれています。ソロには天賦の才能があるP.コゾフもコード奏法には不安があったのかもしれませんね。 傑作の部類に入ると勝手に思い込んでいる本作は、フリーを踏襲しているとはいうもののテキサス出身のラビットが持ち込んだR&Bやスワンプのアメリカ南部の味がソウルフルなブルースに見事に溶け込んだ作品です。解散までのフリーが持っていた一触即発的なエネルギーではなく、レイドバックした雰囲気すら感じられる落ち着いた印象の作品に仕上がっています。卓越したヴォーカリストがいなかったということが指摘されることが多いのですが、これはこれで違う視点で楽しみましょう。 とはいえ適度な緊張感を持ったコゾフの印象的なギターから作品は始まります。ソロを受け持つコゾフとそれをバックアップするラビットのハモンドオルガンを軸としたキーボード群の構成には老練ささえ感じます。ラビットの作品ですが、フリーのアルバムに収められても不思議ではない曲です。2曲目もラビットの作品でソウルフルなブルース・ナンバー、美しいメロディが印象的です。3曲目は、バッド・カンパニーでも再収録されるS.カークの作でやさしさに溢れたポップス色の濃い作品です。4曲目は、コゾフ作のインスト作品。どっぷりコゾフに浸かって下さい。 ファンク・ブルース?とでもいえる6曲目からがアナログではB面です。エフェクトの処理されたヴォーカル、ドラマティックなギターにタイトなリズム隊、ジャミロクワイも感服でしょう。ラビット作の7曲目は、B.J.コールのスティール・ギターが印象的なスロー・テンポの作品。カーク作の8曲目は、哀愁感漂う歌詞とコゾフのギターやピアノにメロトロンがマッチした作品。ラビット作の9曲目も7曲目同様B.J.コールのスティール・ギターが大活躍の作品でカントリーっぽい演出が涙を誘います。コゾフ作で自らのヴォーカルをフィーチャーした異色作。ヴォーカルはお世辞にもうまいとはいえませんが、アコギも加えたコゾフのギターにラビットのキーボード群が絡むプログレ風のフリー・ロック?が楽しめます。 コゾフの体調が万全ではなかったとしてもバンドのまとまりとメンバーの力量は十分に感じることができます。歴史的な名盤とは呼べないかもしれませんが、私の心には十分染み渡っている作品です。 |