WEEKLY PICKUP 056 MICK TAYLOR
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています
MICK TAYLOR(1979)


  1. LEATHER JACKET
  2. ALABAMA
  3. SLOW BLUES
  4. BABY I WANT YOU
  5. BROKEN HANDS
  6. GIDDY UP
  7. S.W.5
  8. SPANISH
  9. A MINOR
  • MICK TAYLOR : GUITAR, PIANO, VOCAL, BASS
  • KUMA HARADA : BASS �´��┃�
  • PIERRE MOERLEN : DRUMS �´���
  • JEAN ROUSSELL : PIANO �´��Ν�
  • MIKE DRISCOLL : DRUMS �↓きキЛ�
  • RICHARD BAILEY : DRUMS ��
  • LOWELL GEORGE : SLIDE GUITAR ��
  • ALAN SPENNE : BASS ��
PRODUCE : MICK TAYLOR
祝!来日記念?素晴らしいステージを展開しているであろうローリング・ストーンズの来日を記念して、元ストーンズでありストーンズを流麗なギターにより一般のロックファンにも認知させることに貢献したミック・テイラーの初ソロ・アルバムを取り上げました。いささか天邪鬼的ではありますが、好きなもので勘弁してください。

ストーンズの『LET IT BLEED』の中の2曲にセッション・ギタリストとして参加後、ドラッグ禍に陥っていたブライアン・ジョーンズの後任としてストーンズに正式参加します。ミック・テイラー在籍時に発表されたアルバムは、『GET YER YA-YA'S OUT』『STICKY FINGERS』『EXILE ON MAIN STREET』『GOATS HEAD SOUP』『IT'S ONLY ROCK'N ROLL』の5枚です。どれもが高品質の作品で、ストーンズが一番輝いていた時期(今も輝いていますが)に当たるのではないでしょうか。どの作品もアメリカン・テイスト溢れる作品でR&B、R&Rたっぷりの仕上がりになっています。

その絶頂期のストーンズを脱退したのが1974年、脱退後は目立った活動をせず充電に時間を注ぎます。そして、この作品が発表されたのが1979年。パンクの波も過ぎ去り、ロック界にも新しいバンドがどんどんデビューしていた時期に発表されたソロ・アルバムには、正直驚かされました。70年代前半のストーンズを踏襲しながらも自分自身のギタリストとしての存在をアピールする作品は、A面がどちらかというとブルージーでレイドバックした雰囲気を持ち、B面がブルースを基調にしながらもフュージョン的なアプローチで迫ってくれる好作品です。地味ではありますが、正に『大人のロック』と呼ぶに相応しい作品となっています。

一曲目は、「やぁ、みんな元気かい」とでも言っているような軽めの作品で、ジャケットからは想像できませんが、爽やかなギターが楽しめるアメリカンテイスト溢れる明るい曲です。続く2曲目には脱帽です。これまた、ジャケットの都会的な雰囲気とは180度違った方向の作品で、スライド・ギターが堪能できるアメリカ南部色の強い曲です。3曲目は、ブルース。ジャジーな雰囲気のバック陣を従えて角のないやさしいギターで魅了してくれます。ブルース・ブレイカーズの先輩でもあるピーター・グリーンの透明感やエリック・クラプトンのスロー・ハンドとは一味違った音色が楽しめる作品です。ドラム以外をミックが演奏する4曲目は、甘いマスク同様の美しいメロディとギターが楽しめるメローな作品です。5曲目も同じくドラム以外をミックが演奏しています。リードやリフ・ワークなどのギター演奏スタイルだけでなく曲自体もローリング・ストーンズの作品として通用する作品です。

アナログではB面最初の曲になる6曲目には、リトルフィートのロゥエル・ジョージがスライド・ギターで参加しています。フュージョン色が強く出た作品で、この曲だけを聴くとミック・テイラーだとは分からないでしょう。哀愁たっぷりのギターとヴォーカルが印象的な7曲目は、ロリー・ギャラガー的な感じのするトラッド色の強い作品です。その名のとおりスパニッシュ風のアレンジが心の奥底にジーンと響き渡る8曲目。アコギとエレキによる構成やバック陣の演奏が素晴らしく、単なるフュージョン作品に終わっていないのです。7分を超える作品ですが、最後まで人を引きつけて離さない魅力には脱帽です。ギタリストとしての力量が、十分発揮された作品です。その余韻を引き継ぐかのように始まる9曲目は、またしてもミックのマルチ・プレイヤーぶりが発揮された作品です。静かに、そして美しく展開されていく作品はロックの人間が作ったとは思えないような出来栄えです。

余談ですが、この作品に参加しているベーシストのKUMA HARADAさんのことは是非、覚えておいてください。70年代初頭からイギリスを中心に活躍し、ミック・テイラー、ピーター・グリーンをはじめ日本でも今井美樹、布袋寅康などの作品にも参加するなどグローバルな活躍をしてきた日本人なのです。現在は、音楽を通しての教育にも力を入れておられるようです。

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