| WEEKLY PICKUP 032 PAUL KOSSOFF |
| WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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誰にでも忘れられない曲やアルバム、グループがあるし、それは成長とともに想い出の数だけ増えていくのではないでしょうか?もちろん、私にもたくさんあります。しかし、忘れてはいけないアルバムや人、グループというのは、それほど多くはないのではないでしょうか?私にとってこのアルバムは、その数少ないアルバムの中のひとつなのです。いまでも、月に一回か二回は聴いているんです。理由は、最後に。 フリーのギタリストとしてデビューしたのは1968年4月、ポールが18歳のときです。ヴォーカルにポール・ロジャースがいたため「KOSS」と呼ばれます。彼のギターの特徴は、独特のトーンとヴィブラート奏法にありますが、このアルバムでは、その両方を十二分に楽しむ事が出来ます。フリー時代にはギブソン・レスポール、ソロになってからはフェンダー・ストラトキャスターがメインになります。詳細は分かりませんが、かなり太目の弦を使っていると思います。アンプもベース用のアンプを使っていたとか。このアルバムではストラトキャスターを使用していますが、出力の弱いシングル・コイルのピックアップでここまでの骨太の音を出すのには大変だろうな、と思います。弦の太さに加えて、チョーキングしまくりの演奏は考えただけでも腕がつりそうです。 このアルバムの聴きものはなんと言っても1曲目の17分(アナログではA面すべて)に及ぶ「TUESDAY MORNING」です。前半部はキャッチーなメロディとリフによるスピーディでヘヴィな展開、後半はインプロヴィゼーションによる緊張感漂う展開。イエスに加入することになるアラン・ホワイトとトレヴァー・バートンによる安定感のあるリズム隊により曲が締まり、ラビットの粋なサポート(状況によって楽器やスタイルを変更)によって聴き手を飽きさせない見事な構成になっています。とくに後半のKOSSのギター・ソロは泣きまくりでたまりません。ドラマチックに展開していく最後半部では胸が熱くなってしまいます。 2曲目は、ジェス・ローデンをヴォーカルに迎えてファンキーで力強いナンバーを披露してくれています。3曲目は、サイモン・カーク、テツのリズム隊を従えて美しくも悲しげなメローなギターを披露しています。彼の特徴のひとつである泣きまくりの骨太のギター・トーンが堪能できる曲です。この時代、このような曲を演奏するとクロス・オーヴァー的になりがちですが、そうならない点も彼の人となりを表現しているように思えます。4曲目は、前期フリーのメンバーとラビットによる曲です。ポール・ロジャースお得意のスローなブルース・ロックにソウルフルな味付けが清々しささえ感じる感動の名曲です。KOSSの作品ですが、これを聴くとフリーを継承していたのはKOSSだったんだなぁ、と思ってしまいます。5曲目は、タイトル・ナンバーであると同時に次作からのグループ名になる曲です。ここでは、第二期ジェフ・ベック・グループにいたクライヴ・チャーマンがベースとして加わっています。全体的にはリズミカルでラテン・ジャズ風の構成になっていて、KOSSのギターも軽めです。 このアルバムを録音したときは既にドラッグに犯されていて立つのもままならない状態だったようです。それなのに、それなのにこんなにすばらしいギターを弾いてくれています。正常だったらどこまで・・・・・・。3曲目の「TIME AWAY」を聴くとヴィブラートが元気な頃と比べて十分ではないかな、と思いますが、これでいいんです。 1976年、アメリカ・ツアー中の飛行機の中で26歳にて永眠。ドラッグのオーヴァードースによる心臓麻痺が原因といわれています。 |