| ROCK STANDARD 062 BOSTON |
| ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています |
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現在では手軽にパソコンを使って音楽を創るということが素人でもできる時代ですが、プロ用のデジタル録音などの機器でさえ存在していなかった時代にレコード会社エピックをうならせるデモテープを作ってしまったというところに歴史的名盤としての存在価値があります。ボストンが(というよりもトム・シュルツが)発表した作品の中では次作の『ドント・ルック・バック』の全米一位にはかなわないものの第三位という結果を残していますし、売上的にはこれまでに1700万枚以上というダントツの結果を残しています。 マサチューセッツ工科大学を卒業後ポラロイド社に就職しエンジニアとして働く傍ら、アマチュアバンドのメンバー(キーボード)として活動しギターもマスター、電気工学の知識を活かして自宅に作ったスタジオで多重録音に励むのです。ビル・ゲイツ氏がマイクロソフト社を作ったのが1975年、アップル社のPC Apple�兇�発売されるのが1977年、日本で初めてのPCであるNECのPC−8001は1979年の発売。そんな時代に自宅で多重録音をするなどという気の遠くなるような努力と根性には頭が下がります。 それは、エピックも同様だったらしく一人で創ったとは考えていなかったみたいです。デモテープを忠実に再現することとアルバムのプロモーション用のコンサートを実施する目的でバンドのメンバーが集められたのです。ですからクレジットにあるメンバーのうちリード・ヴォーカルのブラッドレイ・デルプ以外の人間がどのくらいアルバム製作に関与しているかは定かではありません。一説には、ほとんどの楽器をシュルツ一人でこなしたという話もあります。 さて、伝説はこれくらいにしておきましょう。アメリカン・ハード・プログレと称されるボストンの音楽は英国のプログレッシヴ・ロックのクラシカルな部分を受け継ぎつつもキャッチーでメロディアスなアメリカン・ハード・ロックを発展させた画期的なサウンドでした。1972年と74年にデビューした同じアメリカン・ハード・プログレの代表であるスティクスとカンサスには歴史では先を越されてはいますが、このスタイルを完成させたのはボストンだといっても過言ではありません。 『幻想飛行』と日本では題されたファースト・アルバムは、邦題「宇宙のかなたへ」で幕を開けます。ボストンの特徴が最大限に活かされた作品は全米5位という快挙を成し遂げ日本でも話題になります。スペイシーなギターサウンドをバックに透明感のあるヴォーカル、モントローズを代表とするアメリカン・ハードの王道に美しいメロディが加わりボストンの世界が構築されています。続く2曲目は、ドゥービーブラザーズに代表されるウエストコースト・サウンドをベースにしたような作品で痛快なコーラスと切れ味の良いギターが印象に残る作品です。続く3曲目こそ若い方に是非聴いて欲しい私のお気に入りの一曲です。ボストンがプログレバンドの仲間に入れられる要因とも言える作品でインストの前半とヴォーカル曲の後半部という構成になっています。前半のインストは、キース・エマーソンを思わせるキーボードに多重録音のギターサウンドが織り成すブリティッシュ風プログレ、後半はサザンロックとウエストコーストサウンドが合体したようなアメリカン・ロック、一度で2度おいしい作品なのです。 B面最初は、疾走感のあるボストン流ロックンロール、爽やかです。続く�イ蓮▲屮�ロックをベースにした曲で間奏のブルース色の濃いキーボード、荘厳なバロック風のキーボードなど聴き応え十分の作品に仕上がっており、トム・シュルツのコンポーザー・アレンジャーとしての能力の高さを証明しています。続く�Δ蓮△泙襪妊�ィーン。ギターに凝っていたトム・シュルツはとてつもないブライアン・メイのファンなのではと思わせてくれます。思わず、にやっ。続く�Г眤申渡寝擦砲茲觸展�なギターサウンドとクィーン風(?)のコーラスが楽しめる作品。最後の�┐魯�ラッと変わってアメリカのルーツを再確認するような作品で、ボストンにしては少々土の香りが強いかなという感じですが好感の持てる曲です。 それにしても、シンセサイザーを使用していないにもかかわらずギターの多種多様な使用方法と多重録音によりシンセサイザーと同様の効果をもたらしているのには脱帽です。 |