| ROCK STANDARD 039 NAZARETH |
| ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています |
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ステイタス・クオーなどとともにブリティッシュ・ハード・ロックの第2グループ(ファンの方、ごめんなさい)に属するナザレスの起死回生のサード・アルバムです。71年に新興レーベルのペガサスからデビューした彼らは、さして話題になることもありませんでしたが、逆にセカンドではアコースティカルなサウンドが受け入れてもらえず酷評されてしまいました。ハード・ロックが熟していた時代ということもあったのでしょうが、ハード・ドライヴィングなライヴの人気とは異なるアルバム作りのコンセプトが間違っていたのかもしれません。 その不遇の時代にひとつの出会いが生まれます。大御所ディープ・パープルのコンサート・ツアーのオープニング・アクトとして参加することになるのです。そこで出会ったロジャー・グローバーが、彼らのことを気に入ってしまったのか気がかりだったのかは分かりませんが、彼ら本来の魅力を引き出した作品作りを進めるのです。レコード会社も移り、これまた新興レーベルのムーンクレストからレーベル第一弾として1973年に再デビューします。もともとアメリカナイズされた感じが強かった彼らですが、この作品ではレオン・ラッセルやフォークの父ウディ・ガスリーの曲をカヴァーし、すばらしい曲に仕上げています。�─↓�というヒット曲も生まれ、この年に英MM誌でブライテスト・ホープの第一位に輝くのです。 ナザレスは、R&Rをベースにしたハード・ドライヴィングな曲が特徴ですが、アルバムを通して聴いてもらえば分かるようにバラエティに富んだアルバム作りにこそ特徴があるのです。「ラヴ・ハーツ」が、あまりに有名なためバラードっぽい曲が多いイメージを持っていらっしゃる方も多いかと思いますが、ダン・マカファティのシャウトを得意とするヴォーカル、マニュエル・チャールトンの適材適所のギター・プレイなど随所に聴き所を持ったグループなのです。 アルバムは、聴いた瞬間に脳が壊れてしまいそうな激しいヴォーカルで始まります。搾り出すようなダン・マカファティの声にハードなギター・リフ、痛快ハード・ロックンロールの名曲です。インディアンの狼煙が見えるようなリズムで始まる様式美的なハード・ロックの2曲目は、なんとレオン・ラッセルのカヴァーなのです。名作『Leon Russell And the Shelter People』に収録されている原曲のリズムを強調し、ツイン・リード・ギターのスワンプ色豊かな曲をハードなギターリフの導入でハード・ロックに変身させたアレンジ力には脱帽です。3曲目もカヴァーですが、こちらはフォークの父ウディ・ガスリーの曲。ツェッペリンもブリティッシュ・トラッドをハード・ロックに変身させましたが、この曲も同様のアプローチでオリジナルと呼んでも良い出来上がりになっています。スライド・ギターの官能的な響きが全編を通して大活躍の名アレンジです。4曲目は、ハード・ブギーでテンポを少し遅めにすることでハードさが増しています。うねるギターも聴き所のひとつですよ。5曲目は、繰り返される単純なギター・リフとドラムのリズムをベースにコーラスとまとわりつくようなギター・サウンドで味付けした曲。6曲目は、ライヴで受けそうなソウルフルな感じの痛快R&R。7曲目は、ブラック・サバスを思わせるような重たいサウンドに悪魔の叫び声のようなヴォーカルが暗黒の世界へ誘ってくれる曲。8曲目は、ナザレスの真骨頂であるハード・ドライヴィングなR&R。ギターもベースもコーラスと一緒に走る走る。9曲目は、キャッチーなメロディが印象的な爽やか系ハード・ロックです。 この名盤は、もうひとつの名盤を生み出すことにもなったのです。このアルバムを聴いて気に入ったロリー・ギャラガーが、この作品のプロデューサーであるロジャー・グローバーを迎えて製作したのがあの名盤『コーリング・カード』なのです。音作りの点では似ている箇所も多々ありますので、聴き比べてみてください。 |