やはり、ジョン・レノンでしょうか。12月8日、レコード・プラント・スタジオから自宅のマンションに帰りついたジョンを待っていたのは熱狂的なファンだったマーク・チャップマン。彼はジョンに声をかけ振り向いた彼に5発の銃弾を浴びせます。その日の午後11半、出血多量により40歳でジョンは息を引き取りました。専業主夫になり音楽活動から遠ざかっていた彼が、5年ぶりのニュー・アルバム『ダブル・ファンタジー』を発表し音楽活動を再開した年の出来事でした。

もうひとつの悲しい出来事は9月25日。多量のアルコールを摂取し泥酔してしまったジョン・ボーナムが嘔吐物をのどに詰まらせ窒息死してしまったのです。大々的なヨーロッパ・ツアーが終了し、次はアメリカという矢先の出来事でした。ボーナムを失ったツェッペリンは、新ドラマーを補充する考えはなく12月4日に解散を表明したのです。 その他にも、トミー・コールドウェル(マーシャル・タッカー・バンド:ベーシスト)が交通事故、イアン・カーティス(ジョイ・ディヴィジョン:ヴォーカル)自殺で命を落としています。

悲しいというよりもあきれた事件もありました。1月16日、ウイングスの日本公演のため来日したポール・マッカートニーがマリファナの不法所持のため成田空港で逮捕、25日まで身柄を拘束され公演が中止になってしまいます。なんとも情けない。

ニュー・ロマンティックやテクノなどの80年代を代表するさまざまなバンドが台頭した年であるとともに、大々的なツアーを大成功させたピンク・フロイド、80年代の新しいスタイルを確立したクイーン、再び表舞台に戻ってきたスティヴ・ウィンウッド、米・英で一位を獲得するなど衰えを知らないローリング・ストンズなどベテラン勢も元気を取り戻した年でもあります。


1980年の歴史的・私的名盤

私的なジャンル分けですが、参考までに: ハード系、 プログレ系、 ポップス系、 ロック系、 フュージョン系


REO SPEEDWAGON
HI INFIDELITY
全世界で1000万枚を売り上げ、彼らの名を不滅のものとした80年代アメリカン・ロックきっての名盤。しかし、ここまで来る道のりは遠かったのです。じつは、ぽっと出の若手グループではなく、既に活動暦も10年を超え発表した作品もこれで11枚目というベテランなのです。それまでは若干マンネリ気味でしたが、ハードな中にポップさを導入しセンス溢れる作品が並んでます。
STYX
PARADICE THEATER
米プログレ・バンドである彼らの結成10周年作品で初めて全米ナンバー1を獲得した作品。多少大袈裟かと思えるほどのドラマティックな作風はこの時代ならではといえます。
TALKING HEAD
REMAIN IN LIGHT
ニューヨーク・パンクとしてデビューした彼らの4作目。作品ごとにスタイルを進化させてきた彼らが、力強いリズムを主体にした自分たちのスタイルを確立した作品。プロデュースはB.イーノ。

AC/DC
BACK IN BLACK
前作『地獄のハイウェイ(1979)』がアメリカで大ブレイクしますが、リード・ヴォーカルのボン・スコットが急逝。元ジョーディーのブライアン・ジョンソンを新たに迎えて発表した傑作。二本のギターを軸にシンプルかつパワフルでブルージー風味をちょっぴり加味したガンガンのR&Rが展開されます。オーストラリア出身ながら世界のヘヴィ・メタル・バンドとして認識された作品でもあります。
IRON MAIDEN
IRON MAIDEN
NWOBHMの雄としてのデビュー作。ドライヴ感のあるベースを軸にハードからバラードまでバラエティに富んだ作品が並んでいます。ジャケットの印象よりは若干軽めで聴きやすい作品です。
MOTER HEAD
ACE OF SPADES
元ホーク・ウインドのイアン”レミー”キルミスターが75年に結成したヘビメタ・バンドの三作目です。ライヴが評判であることを証明するハード・エッジを武器とするゴリ押しロックが凄い。

BOB SEGER & THE SILVER BULLET BAND
AGAINST THE WIND
日本では非常に評価の低いアーティストの中の一人でしょう。たくましいロックンロールを聴かせてくれのですが、歌詞の意味がわかればもっと人気が出てもおかしくなかったのではと思います。とはいうものの、図太いヴォーカルや力強い演奏は、生身で体感できる素晴らしいものです。イーグルスのメンバーやビル・ペイン、ドリュー・アボットの好演も素晴らしいのです。実は、全米ナンバー1。
BRUCE SPRINGSTEEN
THE RIVER
大所帯のEストリート・バンドのダイナミックな演奏が十二分に楽しめる2枚組の大作です。真のロックンローラーとして疾走感溢れる作品が目白押しです。
BRYAN ADAMS
GIVE ME YOUR LOVE
怒涛のロックンローラーのデビュー作です。バラエティに富んだ内容は、曲構成には甘さがあるものの聴き手を納得させる力強さ(強引さ?)は二十歳という若さならではでしょう。

QUEEN
THE GAME
「愛という名の欲望」、「地獄へ道づれ」というこれまでのクイーンとは一味も蓋味も違う作風で見事に(ついに)全米ナンバー1を獲得した2曲を含む意欲作。当時、台頭著しかったヒップ・ポップなどブラック・ミュージックへの傾倒が強く出てはいますが、そこに50〜60年代のテイストを絡ませるというセンスがクイーンならではという感じです。唯一、米・英ナンバー1に輝いてます。
THE ROLLING STONES
EMOTIONAL RESCUE
キースのリード・ヴォーカルのバラード「オール・アバウト・ユー」など75曲の中から選ばれた印象的で存在感抜群の10曲で構成された作品。米・英で一位に輝いた作品。
STEVE WINWOOD
ARC OF A DIVER
ほぼ3年ぶりとなるソロ作は、ポップさと大人の雰囲気に溢れる好作品です。忘れられそうだった彼を表舞台に引き戻したヒット作でもあります。

RONNIE LANE
SEE ME
『ウー・ラ・ラ』を最後にフェイセズを脱退したR.レイン、彼がなくなって今年(07)でちょうど10年にもなります。スリム・チャンスというバンドを結成しカントリー/フォークに根ざした作品を発表していましたが、この作品は一様ソロ名義です。とはいうものの、スリム・チャンスのメンバーががっちり脇を固める本作も、相変わらずのレイドバックした作風で安心感を与えてくれます。
PETER GREEN
LITTLE DREAMER
復帰第二弾となる作品。兄であるマイクの手になる作品がほとんどとはいうものの、前作の『イン・ザ・スカイズ』よりもブルース色が増しており往年のファンも納得という作品です。
RORY GALLAGHER
STAGE STRUCK
ライヴに定評のあるギャラガーですが、ソロになってからでも三作目となるライヴ作品です。勢いという点や名曲が少ないという点では前二作には及びませんが、質の点では本作が最高です。

BLACK SABBATH
HEAVEN AND HELL
前作は、製作前に脱退したオジー・オズボーンを呼び戻すという状況でしたが、本作からは、なんとレインボーのロニー・ジェイムス・ディオが参加しています。通算9枚目に当たる本作では、サバスの暗黒の世界とロニーのヴォーカルが非常にマッチしており、様式美サバスの代表作といえる仕上がりになっています。
TRILLION
CLEAR APPROACH
アメリカン・プログレが大好きな方くらいしか知らないであろう日本での評価が非常に低い作品です。ジャーニー、TOTO的なアプローチの作品が多く隠れた名盤です。CD発売は奇跡に近い。
CHEAP TRICK
ALL SHOOK UP
プロデューサーに大物ジョージ・マーティンを迎えてのハードなスタイルに変化し始めた時代の作品。アレンジにも目を見張るものがあり、落ち着きすら感じさせてくれます。

YES
DRAMA
イエスの顔ともいえるJ.アンダーソンとR.ウェイクマンが脱退という危機を乗り切って発表されたこの作品に参加したのは、なんとこの年にブレイクしたバグルスの二人(トレバー・ホーン、ジェフ・ダウンズ)でした。テクノっぽくなると思いきや、タイトでハードさたっぷりのハードなプログレ作品になりました。
詳しくは Rock Standard 024
PETER GABRIEL
PETER GABRIEL #3
R.フリップ、F.コリンズ、P.ウェラーなどが参加した三作目。ソロ作前期?を代表する作品であるとともにK.ブッシュとのデュオなど3枚のシングルヒットを生んだ作品でもあります。
BRUFORD
GRADUALLY GOING TORNADO
これまでの美しいとさえいえるジャズ(カンタベリー系?)路線には変化がないものの、ジェフ・バーリン(b)のヴォーカルをフィーチャーした作品が半数の4曲を占める作品です。

FUSE ONE
FUSE
R.コリエル、J.マクラフリン、S.クラーク、ジョー・ファレル、L.ホワイトなどフュージョン界の超一流のミュージシャンが集まったドリーム・チームの作品です。ファンキー、ジャジー、ブルージー、メロディアスなどフュージョンの参考書とも呼べるバラエティに富んだ内容と演奏力・アレンジ力の素晴らしさはロック・ファンでも大満足できるはずです。
AL Di MEOLA
SPLENDIDO HOTEL
二十歳前にRTFで衝撃的なデビューをした彼が、今回もC.コリアやJ.ハマーなど素晴らしいゲストを迎えて製作したギター・フュージョン作品。エレキにアコギにとすごい演奏を聴かせてくれます。
GROVER WASHINGTON Jr.
WINELIGHT
サックスのメロウ・フュージョンの代表作であるタイトル曲を含む大ヒット作品です。スタッフのメンバーをはじめとする都会派(?)フュージョンの面々がバックを固めるシティ感覚溢れる作品。

THE MICHAEL SCHENKER GROUP
THE MICHAEL SCHENKER GROUP
邦題は、大胆不敵な『神(帰ってきたフライング・アロウ)』。ギター一本(フライング・アロウ)でスコーピオンズ、UFOと渡り歩き、バンドを成功に導いてきた彼のソロ・プロジェクトです。バックもブリティッシュ・ロックの重鎮ドラマーであるサイモン・フィリップやドン・エイリー(keyb)が参加しており、出来が悪いはずがない。叙情的なメロディーをふんだんに聴かせてくれます。
JOURNEY
DEPARTURE
『インフィニティ』からの三部作の最後を飾る大傑作。300万枚をセールスしトリプル・プラチナに輝いたという事実が当時の人気の凄さをものがったています。ジム・ウェルチのジャケも秀逸です。
RUSH
PERMANENT WAVES
前作までのSF的世界から脱し現実へ目を向けた作品。組曲などは無くシンプルな曲で構成されたせいか本国カナダや米・英でプラチナ・アルバムを獲得し人気が確立した作品でもあります。

CHRISTOPHER CROSS
CHRISTOPHER CROSS
いきなり出てきてグラミー賞5部門を獲得。しかも彼は29歳、60年代後半から音楽活動を始め70年代後半から自作曲を書き溜めていたそうです。大変失礼ですが、初めて写真を見たときは、AORそのものというソフトな声といかつい顔のギャップにビックリしたものでした。AORの全盛期を呼び込んだともいえる本作は、全米チャートに114週も居座ったのです。
AIR SUPPLY
LOST IN LOVE
オーストラリア人のユニットによる爽やか系AORデュオのアメリカ・デビュー作です。日本盤とはジャケットが違うみたいですが、日本盤はウィンド・サーフィンの写真でした。
BOZ SCAGGS
MIDDLE MAN
『シルク・ディグリーズ』から本作まで連続三作がミリオンセラー。TOTOのメンバーやD.フォスター、レイ・パーカーJr.らが参加しロック寄りの作品に仕上がっています。

J. GEILS BAND
LOVE STINKS
EMIへの移籍後二作目となる本作は、『愛なんて鼻につくぜ』という題名とはまったく逆で、J.ガイルス・バンド流のダンサブルなアルバムです。当時大ブームだった『サタデイ・ナイト・フィーバー』が引き金となったディスコ・ブームにあやかったのか、これまで以上にビートが強調されシンセサイザーも大胆に導入されています。しかし、根底はR&B、センスの良さはいつもどおり。
YES
YES SHOWS
予定よりもかなり遅れて発売された2枚組ライヴ作品です。P.モラーツが在籍していた時期の作品が3曲あり、当時のファンには貴重な作品でした。P.モラーツの「儀式」が収録されています。
EAGLES
EAGLES LIVE
J.D.サウザーなどが参加した『ロング・ラン・ツアー』の模様を収めた作品。とはいうもののヒット曲の多いグループだけにベスト・ライヴ的なものになっており楽しめる作品です。

THE CLASH
SANDINISTA
なんと3枚組の大作です。1979年に武装蜂起したニカラグアの革命軍:サンディニスタ民族戦線の名前がタイトルになった本作も彼ららしく政治色の強いものになっています。ジャマイカのアーティストであるマイキー・ドレッドを迎えて斬新なレゲエの解釈を展開したものの、セールス的には成功せず英チャートでは19位と振るわず彼らのターニング・ポイントになりました。
STRAY CATS
STRAY CATS
ニューヨークで結成されロンドンへ渡英、そのデビュー作。ネオ・ロカビリー・ブームの火付け役となりたくさんのフォロワーを生みました。B.セッツァーのギターとヴォーカルには痺れました。
U2
BOY
76年にアイルランドのダブリンで結成されたパンク系に属すると思われたバンドのデビュー作です。しかし、その音楽性は、まだまだシンプルですが味のある深いものでした。

JACKSON BROWN
HOLD OUT
通算6枚目となる作品で、見事に初の全米ナンバー1を獲得した作品でもあります。再婚したため夫人をテーマにした作品が多くを占めますが、前年の6月に亡くなったローウェル・ジョージに捧げた「オブ・ミッシング・パーソンズ」には涙です。ビル・ペインやラス・カンケルらの参加で、これまでになくロック色が濃い作品が多いのも特徴のひとつでしょうか。
DAN FOGELBERG
PHOENIX
一年近くを費やしてロス、ナッシュビル、マイアミで録音された作品です。ラス・カンケル、アンディ・ニューマークなどが参加しプルデュースにはダン本人も参加した意欲作。
ROBBIE DUPREE
ROBBIE DUPREE
シカゴ・ブルースの影響を受けながらニューヨークのブルックリンで育った環境なのか、センスの良さが光るデビュー作。一度は挫折したデビューでしたが、デモ・テープが再評価され大ヒットに。

THE CARS
PANORAMA
エレクトロニクスを多用したクールでポップな曲作りが魅力のカーズ。その中心人物であるリック・オケイセックとベンジャミン・オールが頭角を現し始めた作品です。大成功を収めた前作まではどちらかというとコマーシャルなイメージが強かった彼らですが、本作では実験的な要素も加わりロック的にも聴き応えのある作品になっています。
BLONDIE
AUTOAMERICAN
タイトルのとおりジャズやレゲエだけでなくラップやファンクという黒人音楽などの要素を加えてアメリカを表現したコンセプチュアルな作品。ただのポップ・バンドではなかったのです。
JAPAN
QUIET LIFE
ロキシー・ミュージックなどのプロデューサーだったジョン・パンターとの出会いで方向性が確立され、デヴィッド・シルビアンの存在が大きくなった作品です。

AIRPLAY
AIRPLAY
いかにもこの時代の音という感じのポリシンセとギターを組み合わせた重厚な音作りですが、それもそのはず、当時の売れっ子ソングライターでセッションマンのデヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンのコンビなのです。バックにもTOTOのメンバーやビル・チャンプリンという豪華なメンバーが参加。軽めのジャケットとは全然違うキレのあるポップ感覚溢れる音の世界が広がっています。
LARSEN-FEITEN BAND
LASEN-FEITEN BAND
まさに、これこそフュージョンと呼ぶに相応しい作品です。ロックにジャズ、ファンク、R&Bなどが適度に融合した楽曲群は、後世に語り継がれていかなければならない名盤だと思います。
JONI MITCHELL
SHADOES AND LIGHT
彼女の代表曲ばかりが集まった2枚組のライヴ作品です。バックにはJ.パストリアル(当時恋人)などジャジーなメンバーが参加しており、彼女の魅力を十分に引き出してます。

THE POLICE
ZENYYATTA MONDATTA
英のみならず日・米で人気を確立させた三作目。スティングが高校の教育実習生だった体験を基にして製作された「高校教師」や貧困問題をテーマにした「世界は悲しすぎる」、「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」など名曲揃いの傑作です。前作を引き継ぐレゲエをベースにした作品、彼らの出身でもあるジャズの雰囲気が味わえる作品など上質のポップ作品集になっています。
BAUHAUS
IN THE FLAT FIELD
先行発売されていたシングルが評判だった彼らですが、ネオ・ゴシック・パンクと呼ばれた彼らの人気を決定的にした記念すべきデビュー作品です。
PAT BENATAR
CRIMES OF PASSION
80年度のグラミー賞を獲得したセカンドです。大活躍するのはまだ先ですが、本作からは映画の挿入曲になった「ユー・ベター・ラン」がヒット、レンジ幅の広いヴォーカルが十分に楽しめます。

BUGGLES
THE AGE OF PLASTIC
翌年にはなりますが、81年の8月1日に放送が始まった『MTV』のオープニングに流れたのがバグルスの「ラジオ・スターの悲劇」だったのです。それほど革新的だったトレバー・ホーンとジェフリー・ダウンズは、この年にジョンとリックが抜けたイエスに参加し傑作『ドラマ』を製作。その後、T.ホーンは名プロデューサーに、J.ダウンズはエイジアに参加と大活躍をします。
DEVO
FREEDOM OF CHOICE
アメリカン・ニュー・ウェイヴの雄である彼らの三作目です。前二作同様にエレクトロニクスを駆使してはいますが、ポップ性も重要視し始めたことが感じられる作品に仕上がっています。
JEFF BECK
THERE AND BACK
スタジオ作としては4年ぶりに発表された作品ですが、『WIRED』の延長線にあるアルバム。しかし、激しいインプロヴィゼーションの応酬などはなく非常に落ち着き感のある曲が多い作品です。

PRINCE
DIRTY MIND
前作で独自のスタイルであるファルセット・ファンキー・サウンドを完成させたプリンスでしたが、本作は若干23歳の彼がスキャンダラスでダーティな自己表現に挑戦した作品です。しかし、その内容はあまりにも過激で、「ヘッド」や「シスター」といった放送禁止作品も生み出した問題作としてのほうが有名かもしれません。また、良い意味で彼のターニング・ポイントにもなった作品です。
SKIDS
THE ABSOLUTE GAME
スコットランドの出身バンドらしくニュー・ウェイヴの中でもポップな路線を追求していた彼らの代表作にして最後の作品です。ちょっと風変わりではありますが楽しめる作品です。
NINA HAGEN BAND
UNBEHAGEN
まるでC級ホラー映画のようなジャケットですが、英語ではなくドイツ語で歌われる歌詞は独特で攻撃性も十分。チェーン・ソーぶん回しの恐怖が味わえる作品です。

STEELY DAN
GAUCHO
グラミーのベスト・エンジニア賞を受賞した作品です。しかし、多彩なゲストを迎えての製作はいつもと一緒ですが、受賞の事実が物語るようにベッカーとフェイゲンの音作りへの拘り過ぎからなのか、生命感があまり感じられません。作品の出来は良いのですが、どこか遠ざかってしまうという感じです。フュージョン系の有名どころに加えてマーク・ノップラーも参加してます。
THE DOOBIE BROTHERS
ONE STEP CLOSER
この作品の評価は、M.マクドナルドを評価するかどうか、ということに尽きるのでしょう。初期の切れ味が忘れられない私には聴くに堪えない作品ですが、当時の時流を考えれば評価されても……。
DARYL HALL & JOHN OATES
VOICES
初のセルフ・プロデュース作品。A面がロック的、B面がR&B的ともいえる構成で彼らのセンスの良さが光っています。全米1位になった「キッス・オン・マイ・リスト」など印象深い曲ばかり。

JOHN LENNON & YOKO ONO
DOUBLE FANTASY
ジョン・レノンのインスピレーションにはヨーコ・オノが必要だったんだな、と気づかせてくれた作品です。ジョンとヨーコそれぞれの作品が収められたこのアルバムのなかで、ジョンとヨーコの作品の出来にはかなりの違いがあります。前衛的で自己顕示欲の強かったヨーコの評価は消して良いものではありませんが、二人にとっての生活や意識など共有していたことのすべてが表現されていると思うのです。
GENESIS
DUKE
フィル、トニー、マイクの三人になっての2作目。すでにプログレ・バンドとしての要素は薄くなりポップな感覚が強調されています。フィルのドラミングが前面に出ており、その後の大ブレークの基本形です。
STEVIE WONDER
HOTTER THAN JULY
故M.ルーサー・キングに捧げた曲、ボブ・マーリーに捧げた曲など黒人としての自分を強く意識した作品。キャッチーななかにも社会性を持たせたS.ワンダーならではの作品です。

RY COODER
BORDERLINE
アメリカのルーツ・ミュージックにハワイアンやタックス・メックス、沖縄などの要素を取り入れて独自の世界を築き上げてきたライ、映画音楽にのめり込んでる合間に発表された作品です。基本的には50〜60年代のR&Bをベースにしたような音楽ですが、自身ではなくシンガー・ソング・ライターのジョン・ハイアットをフィーチャーした作品です。
ROXY MUSIC
FLESH & BLOOD
大ヒット曲「セイム・オールド・シーン」を含む作品。新しさがたくさん詰まったそのサウンドは、まさにロキシーの独壇場。ブライアン・フェリーのセンスが溢れる作品です。私的にはジャケの女性が美しいなと。
WISHBONE ASH
JUST TESTING
結成10周年の作品。プロデュースにマーティン・ターナーがあたりタイトなブリティッシュ・ロックに回帰した作品です。ギター・バンドとしての面目躍如といってもよい佳作です。