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 BAD COMPANY  DISCOGRAPHY
元フリーのヴォーカル:ポール・ロジャースにドラマー:サイモン・カーク、元キング・クリムゾンのベーシスト:ボズ・バレル、元モット・ザ・フープルのギタリスト:ミック・ラルフスの4人で1973年に結成されたスーパー・バンドのご紹介です。ボズ・バレルは、2006年に亡くなってしまいましたが、2010年にはボズ以外のオリジナル・メンバーにて来日公演が予定され、追加公演も決定しまだまだ人気のあるところを見せています。
◆ シンプルこそ命

 「ぼくらのやっていることが、シンプルでわかりやすくエネルギーをもっているということ。」、これは、大貫憲章さんが彼らの初来日の際にポール・ロジャースにインタビューした際の成功の理由です。
 バッド・カンパニーがレコード・デビューしたのは、1974年。ツェッペリンが興した新興のレーベル「スワン・ソング」からでした。大成功を収めているバンドを去り、またはバンドが解散してことで出来上がったスーパー・グループ、他のスーパー・グループが必ずしも大成功を収め長続きをするとは限らなかった時代に、拍手喝采で迎えられ快進撃を続けた70年代。2010年に、再び彼らがオリジナル・メンバーで日本にやってくるとは誰も思っていなかったことでしょう。未だに、その輝きを失わないデビュー作品は、さほど新しさは感じなかったものの、ポールが語ったようにハードでありながらキャッチーなメロディ、スリリングなスピード感、それらが熱い気持ちでシンプルに表現されていて今でも聴きたくなる作品群のトップ集団を走っています。
◆ ブリティッシュ・ロックの集合体

メンバーの経歴を上辺だけで見れば非常に面白い集合体:スーパー・バンドです。ブリティッシュ・ブルース・バンド:フリーの空中分解により参加したP.ロジャースとS.カーク、ジャジーなインプロヴィゼーションを得意としていた時期のプログレッシヴ・ロックのキング・クリムゾンに参加していたB.バレル、ライヴの評判も良くヒットチャートを賑わしていたグラム・ロックの雄:モット・ザ・フープル出身のM.ラルフス、まさにブリティッシュ・ロックの全てのジャンルが合体したようなバンドの成り立ちには、一つの共通点があったのです。フリー解散までの過程で知り合ったラビットなどのキャッチーなアメリカン・サウンドの必要性を感じたポールとサイモン、目標とするR&Rとはほど遠くなりバンドの主導権を失ったミック、もっと自由に楽しくブルースをやりたかったボズ、かれらが内面に抱えていた音楽への理想のベクトルが一致した時、ものすごいエネルギーを生んだんだと私は思っています。しかし、シンプルなジャケットのエネルギッシュなデビュー作品の内容の素晴らしさは、足かせにもなってしまうのです。
◆ 時代に流されて

楽しく音楽をやろうと集まった彼らの音楽は、大衆の心を掴みデビューから快進撃を続けていきます。しかし、ロックは時代とともに変化し、彼らの音楽は新しいファンの気持ちを掴むにはインパクトが少々小さくなっていったようです。もともとアメリカでの人気が本国よりもあった関係かどうかはわかりませんが、彼らの音楽はアメリカナイズされたものへと変化していき、ついにはポールが脱退してしまいます。強烈な個性を持った名ヴォーカリストの脱退により彼らが選んだ道は、ウイッシュボーン・アッシュなど多くのブリティッシュ・バンドがそうだったようにアメリカでの成功だったのです。ある程度の成功は収めたものの80年代の産業ロックやAORの波に打ち消され目立った活動をやめてしまいます。80年代後半にはブライアン・ハウをヴォーカルに迎え再出発をしますが大成功には至らず、90年代後半には無名ながらポール似のヴォーカリスト:ロバート・ハートを擁しての原点回帰的な作品を発表します。しかし、少数の往年のファンを振り向かせた程度のことしかなかったのです。
バドカン黄金期(1976)


 左より
 Boz Burrell (b), Paul Rodgers (vo)
 Simon Kirke (dr), Mick Ralphs(g)
BAD COMPANY
(1974)
STRAIGHT SHOOTER
(1975)
未だに色褪せしないタイトでハード、しかも親しみやすい珠玉の名曲が散りばめられたロックの名盤です。ポールとサイモンの在籍していたフリーのブルース・ロックにミックが在籍したモット・ザ・フープルの華やかなR&Rが見事に融合した作品は、あまりの出来の良さに後発のアルバムに対する評価が厳しくなりすぎるという結果を生むほどだったのです。 ファーストの出来が良過ぎたばかりに評価がいまいち低いような気もします。若干キャッチーになった感はありますが、ブルージーでハード、キャッチーでスピーディ、メロディアスなバラードなど飽きることのないアルバム構成が素敵な作品です。さしてファーストとの違いは感じられませんが、バンドとしてのまとまりが強く感じられるのはこっちかも。
Run With The Pack
(1976)
Burnin' Sky
(1977)
Desolation Angels
(1979)
ハードな作品とスローなバラードが交互に配置(アナログ盤では⑤⑥は切れている)されていて非常に耳触りのよい作品です。時間をかけてじっくりと練り上げられたらしいのだけど、ストレートでシンプルな曲作りがなされ耳にそのまま飛び込んでくる心地良さがなんとも言えません。ジャケットもピカピカで気に入っている作品です。 ハードな作品とスローなナンバーが並ぶというアルバムの構成は前作と同じですが、サウンドエフェクトなどの使用やポップな作品を組み入れるなど小細工が多いようにも思えます。その分、評価にも影響し地味な作品として印象付けられてしまいました。もともと、アメリカでの評価が本国よりも高いというバンドですからアメリカナイズも時代の流れかも。 アメリカナイズもここまでくれば本物。ハード・ロックからウエストコースト風ロック、バラードと世界のロックの展示会(?)的で散漫とした出来だと思うのですが、アメリカでは3位になりダブル・プラチナムを獲得し初期の人気に匹敵する売り上げを記録します。それもつかの間、P.ロジャースがこの作品を最後に脱退してしまいます。
Rough Diamonds
(1982)
FAME AND FORTUNE
(1986)
DANGEROUS AGE
(1988)
前作まで快進撃を続けてきたバドカンも、ツアー疲れやメンバー間の確執などで3年間のブランクをもって発表された作品です。そういう状況が災いしたのか、それとも時代に迎合したのか、ハード・ロックとは言えないポップな曲なども在り、元気の無さが目立っているのです。ついに、この作品を最後にP.ロジャースが脱退してしまいます。 バンドの大黒柱:P.ロジャースの脱退により新ヴォーカリストのB.ハウを迎えての再出発作品です。もちろん、作曲も手がけていて稀有の名ヴォーカリストだったP.ロジャースの影は大きく呪縛としてバンドにのしかかるのです。プロデューサーのM.ジョーンズらによる過剰ともいえるシンセサイザーのサウンドは、かなり無理な気がするのです。 この作品からボズが抜けてベースはゲストプレーヤーが担当。前作に感じられたP.ロジャースの呪縛から解き放たれた感がありありとわかるカラッとした奔放な上質のアメリカンロックを聴かせてくれます。のびやかなヴォーカルにミックらしいギター、重厚なドラム、さすがに人気の高いアメリカでは58位でゴールドディスクを獲得しています。
HOLY WATER
(1990)
HERE COMES TROUBLE
(1992)
Company of Stranger
(1995)
バラードは、バドカン(とくにP.ロジャース)のひとつの魅力でした。しかし、AOR的でキャッチーなメロディのバラードがバドカンらしくないとおっしゃる方も多いと思います。それでも、時代には多少あっていたのか、昔の幻影を追いかける私がいけないのか、全米では35位という健闘を見せた作品でもあります。が、やはり・・・・・・。 次第に産業ロック化していくバドカンが、ついにバドカン式産業ロックを完成させた(?)作品です。今回は、メンバー3人に加えてベース、ギターに加えてキーボードのゲストプレイヤーが加わっています。そのキーボードに加えてコーラスの多用などまさにパワフルなフォリナーといった感じです。完成度は高いけど好き嫌いは確かにあるな。 新ヴォーカリストに無名のロバート・ハート、リズム・ギターとベースもメンバーに加えて発表された新生バドカンの作品です。ポール似のヴォーカルがどうのこうのという声はありましたが、ブルージーなバドカンが戻ってきました。やっぱり、キーボードもコーラスもいらない。ガツンと心に響く良質のハード・ロックになりました。
STORIES TOLD & UNTOLD
(1996)
What You Here Is What You Get
(1993)
Live in Albuquerque 1976
(2006)
前作の出来が良かったので、この作品もたぶん、と思いましたがセルフ・カヴァー曲なんかがあったりしてがっかりしたものです。カヴァー以外の曲の出来が申し分ないので、そのまま今のバドカンで勝負してほしかった。R.ハートの声がP.ロジャースに似ていたからなのか、CDの収録時間が長くて曲が足らなかったのか、ライヴでの評判が良かったのか。 1992年のアメリカ・ツアーからのライヴ作品です。当然、ヴォーカルはブライアン・ハウ、ボズ・バレルもいません。選曲は、約半分がポール・ロジャース在籍時の作品なのでバランスも悪いように思えます。もっとその時のバドカンを強く出しても良かったのではないでしょうか。その方が聴く方もさっぱりするしね。 M.ラルフスの秘蔵テープを元に発表された全盛期の模様を伝える唯一の公式ライヴ・アルバムとして発表されたのですが、ポールのマネージメントからクレームがつき、すぐに回収されたいわくつきの作品。のためアマゾンでも新品が17000円、中古でも13000円程度のプレミア価格になっています。アナログは、よくあったなあ。なつかしい。