CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL DISCOGRAPHY
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西海岸出身のスワンプ・ロック・バンド。私にアメリカのロック(R&R、R&B)というものを最初に教えてくれたバンドだったような気がします。CCRとしての活動期間は4年弱と短かったものの、7枚のスタジオ録音作品とシングル・ヒットを連発し強烈な印象を与えてくれたバンドでした。
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◆ CCR結成以前 1959年、ジュニア・ハイ・スクールの同級生だったジョン(1945生)、ダグ、スチュの三人が結成していたブルー・ヴェルヴェッツにジョンの兄(1941生)トムが加わり4人での活動が始まります。当初はブルースやR&Bを主体にした活動をしていたらしくベイ・エリア周辺では人気もあったようです。61年に2枚、62年に1枚と少なくとも3枚のシングルも発表しています。64年になってそれまではジャズが主体だったファンタジー・レコード(トムが働いていた)と契約しブリティッシュ・インヴェイジョンを意識したビート・バンド:ザ・ゴリウォグズ(奇妙な顔の男たち)として再出発します。当初はトムがヴォーカルを担当していましたが、ジョンがヴォーカルを担当した4枚目のシングル「Brown-Eyes Girl」が1万枚を売り上げるローカル・ヒット。これがCCRの特徴でもあるパワフルなジョンのヴォーカルが生まれたきっかけでもあるようです。
しかし、合計6枚のシングルを発表するも、ジョンとダグが66年夏に徴兵されアメリカ全土への広がりが予感されつつも活動休止を余儀なくされます。ただ、このことは後のCCRにとっては幸運だったのかも。
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◆ CCR 二人の兵役後活動を再開したザ・ゴリウォグズは新たにファンタジーと契約を結び69年にクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイバルとしてデビューします。ザ・ゴリウォグズとして録音した曲が2曲、新曲が3曲、R&Bのカヴァーが3曲という構成は、まとまりには欠けていたもののCCRとしてのスタイルを決定させるには十分すぎるきっかけを与えてくれます。このアルバムからのヒット曲「スージーQ」と「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」の素晴らしいカヴァーが、CCR=R&B、R&R、スワンプという概念を決定的なものにしたのです。
しかし、CCRが持っていたルーツ・ロックへの憧れは、ザ・バンドなどによるルーツ・ロックへの回帰という流れとともにより顕著になってきます。全米ナンバーワンの『コスモズ・ファクトリー』以後は、徐々にカントリー/ヒルビリー系サウンドの占める割合が増すようになり、ホーンセクションなども導入した『ペンデュラム』発表後には兄弟間の不協和音もあってトムが脱退します。そして最後の作品となった『マルディ・グラ』ではジョンが一歩引いた関係でまとまりを失い解散へとつながってしまいます。
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◆ ジョン・フォガティ CCRの中心人物だったジョン、CCR解散後すぐにマルチ・プレイヤーぶりを発揮したソロ・アルバム『ブルー・リッジ・レンジャーズ』を発表しますが、そのルーツは子どもの頃にあったようです。ピアノ、サックス、ハーモニカ、ドラムスは12才頃までにマスター、続いてギターを手にし、ハイスクール時代には年齢を偽ってバーやクラブでも演奏をする腕前になっていたようです。62年頃に一旦ブルー・ヴェルヴェッツの活動を休止して武者修行をします。
ザ・ゴリウォグズ、CCRでの活躍後は、73年に前述のジョン一人の多重録音カントリー作品『ブルー……』を発表、75年にはCCRファンを納得させるべくCCRスタイルの作品『ジョン・フォガティ』を発表し順調に活動を始めていましたが、全米ナンバーワンになる『センター・フィールド』が発売されるまでは10年を要してしまいます。次の年には、その余勢を駆って『アイ・オブ・ザ・ゾンビー』を発売しますが、ジョンなりの80年代風音作りはファンに受け入れてもらえませんでした。
しかし、97年には往年の雰囲気を取り戻し、04年にもリラックスした作品を発表してくれました。
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左から
ジョン・フォガティ(G)
トム・フォガティ(G)
ダグ・クリフォード(Dr)
スチュ・クック(B)
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CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL (1968)
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BAYOU COUNTRY (1969)
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デビュー作ですが、日本ではセカンドの次に発売されました。発売された時代を反映してかブルースを基調にした作品が多く、彼らの音楽のベースを感じ取ることができる作品です。彼らの特徴であるR&Bやカントリー色は薄いものの、デイル・ホーキンズのR&Bのカヴァー「スージーQ」には、その後の活躍を予感させるに十分な雰囲気があり圧巻です。が、他の作品に比べると印象は薄いかな。
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日本でのデビュー作です。なんと米盤とはA面とB面が逆になっていて、ついでにジャケットも表と裏が逆(かなり後で知った)という迷盤です。しかし、中身は名盤なのです。明確に南部への憧れを歌った作品に始まるA面(米盤)は、統一感も抜群。L.リチャードのカヴァーに始まるB面(米盤)はジョンの存在感が十分に感じられる作品ばかりです。全米2位になった名曲「プラウド・メアリー」収録。
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GREEN RIVER (1969)
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WILLY AND THE POOR BOYS (1969)
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COSMO'S FACTORY (1970)
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彼らのサウンド・スタイルが確立した作品で、彼らの最高傑作に上げる人も多い作品です。ブルース、R&Bにカントリー、ロカビリーの要素が加わりスワンプ色豊かな作品が並んでいます。一口で言うと米のルーツ・ロックの大集合とでも言った感じです。しかし、同じルーツ・ロックの代表ザ・バンドと違う点は、シングルヒットの多さが証明するようにジョンのキャッチーなメロディです。 |
前作から目立ち始めたカントリー、ヒルビリー色が強く出始めた作品です。タイトルは、架空のバンド名で作品もそのバンドのコンセプト作品(?)ということらしいです。これまでの重厚さというか土臭さも残しつつ明るい曲調の作品も目立つようになっています。この作品からのシングルカットが少ないためか地味な印象ですが、前作や後作に負けないくらい作品の完成度は高いのです。
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ダグの愛称であるコスモを冠した作品で、7曲ものシングル・ヒット(両面ヒット、76年を含む)を生んだモンスター作品。日本でもお馴染みの作品がずらりと並んでいますが、その自作曲よりもインパクトのあるカヴァー作品も聴き逃せません。名前が使われたダグが張り切っているためか、シングル・カットされていない1曲目の「ランブル・タンブル」からタイトでノリの良い演奏が際立つ作品の連続です。
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PENDULUM (1970)
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MARDI GRAS (1972)
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LIVE IN EUROPE (1973)
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時代の移り変わりなのか、バンドとしては転換期となった作品です。それを象徴するように、この作品を最後に同級生三人の兄的存在だったトム・フォガティが脱退します。シンガー・ソング・ライター・ブームの始まりに呼応するかのごとくシンプルで重厚なロック色が薄くなり、ホーンやオルガンの導入が作品全体を垢抜けたもの・やわらかいものにしています。永遠の名曲「雨を見たかい」を収録。 |
初めてジョン以外のメンバーが作曲した作品が収録されたアルバムです。しかも三人の作品はほぼ均等で、ジョン以外の二人がそれぞれの作品でもリード・ヴォーカル、プロデュースを担当しています。しかし、ジョン作曲の「サムデイ・ネヴァー・カムズ」、「スィート・ヒッチ・ハイカー」というヒット作品に比べるとインパクトが薄い作品が多くアルバム全体も散漫なものになっているような気がします。
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1971年9月のヨーロッパ・ツアーからの2枚組(アナログ)のライヴ作品。トム・フォガティが既に脱退していたため3人による演奏は、さすがに音圧の薄さやラフさが目立つものの、多くのヒット曲を持つ彼らのステージは圧巻です。最後の「キープ・オン・チューグリン」の13分の素晴らしいパフォーマンスに代表されるように、良くも悪しくもジョンが中心のバンドであることを証明する作品になっています。
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THE CONCERT (1980)
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CREEDENCE GOLD (1973)
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MORE CREEDENCE GOLD (1973)
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1970年のオークランドでのライヴ・アルバム。当初はロンドンのロイヤル・アルバート・ホールのタイトルが間違って付けられていましたがCDでは『THE CONCERT』に変更されています。トム脱退前の4人によるヒット曲を散りばめて徐々に盛り上がるパフォーマンスは、ラフさはあるもののスタジオ録音とは一味も二味も違っており必聴です。 |
解散前に発売されたベスト盤。「プラウド・メアリー」、「ダウン・オン・ザ・コーナー」、「雨を見たかい」、「スージーQ」など大ヒット作品を収録していますが、8曲入りという内容はCD時代の今となっては非常に苦しい。もちろん、音質向上の数多くのベスト盤が出ているので買う必要はないですけどね。
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『CREEDENCE GOLD』収録作品以外のヒット作品を中心にしたベスト盤の第二弾で14曲入り。全スタジオ作品から選曲されてはいるものの、ベスト盤の二作品から「グリーン・リバー」、「サムデイ・ネヴァー・カムズ」が抜けているのはどういう理由なのかいまだに不可解なのです。
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THE BLUE RIDGE RANGERS JOHN FOGERTY(1973)
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JOHN FOGERTY JOHN FOGERTY(1975)
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CENTERFIELD JOHN FORGERTY(1985)
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まるで新しいバンドによる作品のようですが、実はジョン一人による多重録音作品なのです。もちろん、ジャケットに移っている人間もジョン一人(?)です。ジョンのオリジナル作品が収録されていない純粋なカントリー作品ですが、なかなか味のある作品です。CCR時代からカヴァーには提供のある(?)ジョンだけに、そのアレンジには光るところがあるのです。シンプルさが心地良い作品でもあります。 |
カントリー趣味が爆発した前作品では昔からのファンを困惑させたジョンでしたが、この作品ではR&BやR&Rテイストの作品を散りばめてCCR時代からのファンを納得させました。ホーンを使ったメンフィス・ソウル風の作品など新機軸の作品も収録され、これからのソロ活動が期待される作品になっています前作品同様にこの作品もジョン一人による多重録音作品です。
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前作からなんと10年を経て発表された全米ナンバーワンを獲得した作品です。R&B、カントリーを貴重にしたCCR的アプローチの作品が聴き手に安心感を与えたのか200万枚を超えるセールスを記録しました。エレクトリック・ドラムを使用しているためか、CCR時代に比べると軽さに違和感を若干感じますが、コンポーザーとしてのジョンの力が発揮されたキャッチーな作品ばかりです。
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EYE OF THE ZOMBIE JOHN FOGERTY(1986)
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BLUE MOON SWAMP JOHN FOGERTY(1997)
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DEJA VU ALL OVER AGAIN JOHN FORGERTY(2004)
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全米ナンバーワン獲得後の作品であるだけに、聴衆の期待はかなりのものがあったと思います。そんな中で発表された作品は、いままでになくハードな仕上がりになってはいますが、ジョンがどこか遠くに行ってしまったような気がする作品なのです。この作品からジョン一人による作品ではなくなっているのですが、そのあたりが一体感の無さを感じる原因かもしれません。もう少しシンプルでも良かった。 |
前作からは、なんと11年ぶりに発表された作品です。今回の作品はシンプル、シンプル。小気味の良いR&R作品なのです。といっても、アレンジャーとしても優秀な彼ですからシンプル一本槍と言うわけではありません。CCR時代から続くオープン・コードによるかっこいいギターだけではなく多彩な弦楽器の演奏は、その場の雰囲気に合わせて良い色を付けてくれてます。自信に満ちた作品です。
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またも長い間の沈黙を破って発表された作品です。作品は、これまで同様にR&B、カントリー、R&Rを基調にしてはいるものの、現代的な要素も加味した素晴らしい出来上がりです。アコースティックとエレクトリックが適度な存在感を示している飽きのこない曲構成も素敵です。残念なのは、長年待ったのに34分程度しか収録時間がないことなのです。CCR時代からなので仕方ないかな。
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