DISCOGRAPHY  004 RONNIE MONTROSE
MONTROSE/GAMMA
DISCOGRAPHYは、70年代を中心にしたロック・アーティストを紹介しています
BIOGRAPHY
MONTROSEのリーダー兼ギタリストのロニー・モントローズは、バンド結成前はセッションギタリストとして活躍後、エドガー・ウィンター・グループに参加。『エドガー・ウィンター4』の中からインストゥルメンタル『フランケンシュタイン』が全米ナンバーワンになり一躍有名になった直後にグループを離れます。
そして、1973年にサミー・ヘイガー(Vo)、デニー・カーマッシ(D)、ビル・チャーチ(B)の4人によって結成されました。ファーストアルバム『MONTROSE』発表後、ビルチャーチが脱退し、後任にアラン・フィッツジェラルドが加入し『PAPER MONEY』を発表しますが、このアルバムを最後にサミー・ヘイガーが脱退します。サミー・ヘイガーは、その後ソロ活動を経てヴァン・ヘイレンに参加したことは有名なのでご存知かもしれません。アラン・フィッツジェラルドもサードアルバム『WANER BROS.PRESENTS』発表後にナイトレンジャー結成のためグループを離れます。

このように、そうそうたるメンバーが巣立っていったMONTROSEですが、サミー・ヘイガーなどのその後の活躍がメジャーなため、「彼らが在籍したバンド」として紹介されることが多く正当な評価をされることがあまり無いような気がします。70年代のロック・アルバムのリイシューが進んではいますが、リマスター盤が出るような気配も感じないのが残念です。
ファーストアルバムは、ぶっ飛びのストレートなハードロックアルバム、セカンドはキーボードも弾けるアランの加入もありハードな中にも叙情的なメロディーのあるスペーシーなロックです。サッカーのフリーキックに例えるなら、前者は、ロベルト・カルロスやロナルド・クーマン(ちょっと古いかも)のどすこいキック。後者は、ジダンやベッカムの切れ味鋭いフリーキックでしょうか。
どちらも、テッド・テンプルマンのプロデュースということもあり、歯切れのよい痛快ロック曼荼羅です。バンド結成前のセッションギタリストとしてのロニー・モントローズの経験がこのような名盤を作らせたのは事実だと思います。とにかく『うまい!』の一言。

しかし、これ以降の2枚のアルバム『WANER BROS.PRESENTS』『JUMP ON IT』では、アメリカ全体の流れに押されポップ化の傾向が見られるようになりファンが離れていきます。ロック発生地であるアメリカからのブリティッシュロックに対する回答と言うまでにはいたらなかったのが残念です。活動の中心がサンフランシスコであったことや、ロニー・モントローズ自信が幅の広い音楽性を持ち合わせていたことが単なるハードロックグループからの脱却と言う事態を生んでしまったのではないでしょうか。
と言っても、収められている楽曲はレベルの高い曲が多く一聴に値することも確かです。今回、改めて聞きなおしているうちに当時の時代の変化をまざまざと思い出してしまいました。モントローズのアルバムは、ロックの解説書や名盤解説に掲載されることは、ほとんどありませんが聴き応え十分のアルバムです。なにせ、ハードロックやプログレッシブの大御所は絶好調で、新人のクィーン、エアロスミス、キッスなど錚々たるバンドが誕生しその後もヒットを快調に出し続けるという時代では30年経った現在、忘れ去られているとしても仕方のないことかもしれません。

この後ソロアルバムを挟んでGAMMAを結成。ブルースを軸としたタイトでヘビーなアルバムを立て続けに3枚も発表していきます。曲のでき自体は良いのですが、MONTROSE名義の最後のアルバムから3年余りが経過しており、人々の脳裏からMONTROSEを忘れさせるのには十分な時間がありました。日本では、ロックの専門誌に掲載されることもなく、レコードも発売されたのかどうかもわからない状態でした。MONTROSEファンの私としては、どうしてもGAMMAのレコードを手に入れたくて福岡の博多まで輸入盤を探しに行った思い出があります。
MONTROSE
MONTROSE(1973)
MONTROSE
PAPER MONEY(1974)
MONTROSE
WANER BRO. PRESENTS(1975)
MONTROSE
JUMP ON IT(1976)


邦題の『ハード★ショック』に恥じない衝撃のデビュー作。日本では、セカンドの後に発売になったため過小評価されていますが、凄腕ギタリストのロニー・モントローズが早弾きにスライド、ハードなリフにと大活躍の作品です。これぞまさしくアメリカン・ハード・ロックと呼べる真っ向勝負の1曲目からK.O.されるのを覚悟で聴いてください。当時は無名だったサミー・ヘイガー(後にヴァン・ヘイレン)のヴォーカルも聴き応え十分です。


前作の延長線上にあるストレートなハード・ロックにスペイシーな味付けがなされたセカンドで、『灼熱の大彗星』これが邦題です。なんとも凄まじい題名ですが、題名に負けない凄さのある名盤です。サミー・ヘイガーもハードな曲メロウな曲それぞれで最高のパフォーマンスを披露しており、モントローズの最高傑作でしょう。気力・体力の充実を裏付けるように、ローリング・ストーンズのカヴァー「コネクション」も完璧に自分たちの曲にしています。


サミー・ヘイガー脱退後、ヴォーカルにボブ・ジェイムスを迎え、さらにキーボーディストにジム・アルシヴァーを加えた5人組での作品。ツェッペリンやパープルを意識した感じにはなっていますが、ファンキーな面も加えてさらに進化(?)した1枚。多少ポップに成り、ロニーのギターにも迷いが感じられるような気もします。ハードなドライビングが少なくなり、様式美的な方向へと移行しつつあるのがわかると思います。


70年代ロック史の旅はいかがだったでしょうか?と言いたくなるような70年代の要素が詰まったアルバムです。モントローズ自身のコンポーザー、ギタリストとしての実力を疑う余地はどこにもないのですが、表現方法があまりにも多く統一性に欠け、物足りなさだけが残るアルバムです。デビュー以来のファンだった私には方向が定まっていないのが残念でたまりませんでした。ロニーは、起用貧乏なのかも。
GAMMA
GAMMA 1(1979)
GAMMA
GAMMA 2(1980)
GAMMA
GAMMA 3(1982)
GAMMA
GAMMA 4(2000)


ジム・アルシヴァーなど旧知の仲間によって結成されたバンドの第1作。ジムのシンセとの絡みなどを聴くと『PAPER MONEY』時のスペイシーでタイトなロニー・モントローズが帰ってきた、という感じです。待ってましたロニー!曲そのものは、この時代の影響(フォリナーなど)もありキャッチーでメロディアスなハード・ロックですが、センスのよさが違います。縦横無尽に駆け回るロニーのギターが堪能できます。


ドラムがデニー・カーマッシに交替したことでハード・ドライヴィングな展開が多くなり、プロデュースをロイ・トーマス・ベイカーの弟子でフォリナーを手掛けたゲイリー・リオンズが担当したことで鋭さが増した傑作。基本的には、ブルースを基調にしながらも時代の最先端をいく曲作りが随所になされています。粋です。


ジム・アルシヴァーに代わってミッチェル・フルームが参加、ロニーのセルフプロデュースの3作目。全体の曲調は、前作、前々作の延長線上にありますが、重厚さよりもメロディアスな点が目立つ作品です。さすがに、年齢でしょうか?落着いたロックを展開しています。しかし、ロニーのギターは相変わらず元気です。


2000年に突如発売された第4作。インターネットが無かったら、発売された事は知らなかったでしょう。感涙に咽びながら一曲一曲聴きました。キーボード以外は3作目と同じメンバーなので安心していましたが、ロニーは元気でした。
RONNIE MONTROSE
OPEN FIRE(1976)
RONNIE MONTROSE
MUTATIS MUTANDIS(1989)
EDGAR WINTER GROUP
THEY ONLY COME OUT AT NIGHT(1973)
THE BEST OF GAMMA(1992)


ロニーモントローズ初のソロアルバム。オーケストラとのコラボレーションなどギターの新しい方向性を模索しているものの、ジェフ・ベックなどとは違った解釈による方向性がファンには受け入れられなかった。


『OPEN FIRE』では、テクニックに走りすぎた感じが、ファンを不安のどん底に落としてしまいましたが、この作品は違います。スリリングでハード・ドライヴィングなロニーが炸裂です。テクニックに走りすぎることなくリラックスして演奏してます。


R&Bを基調にしたセンス溢れる作品を発表していたエドガー・ウィンターがロックをやるために集めたメンバーと作ったロックアルバム。全米1位になった「フランケンシュタイン」をはじめとして名曲ぞろいの傑作アルバムです。


ブートレグ風のカヴァーですが、正式なベスト盤です。