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WEEKLY PICKUP  075 GEOFF & MARIA MULDAUR
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています
SWEET POTATOES (1972)


  1. Blue Railroad
  2. Havana Moon
  3. Lazybones
  4. Cordelia
  5. Dardanella
  6. I'm Rich
  7. SWEET POTATOES
  8. Kneein' Me
  9. Lover Man
  10. Hard Time Killin' Floor Blues
  • GEOFF MULDAUR : Vocal, Piano, Guitar, Luzan, Organ, Horns
  • MARIA MULDAUR : Vocal, Tambourine
  • AMOS GARRETT : Electric Guitar, Trombone, Vocal③
  • BILL KEITH : Pedal Steel Guitar
  • JOHN KAHN : Bass
  • BILLY MUNDI : Drums
GUEST
  • PAUL BUTTERFIELD : Harmonica
  • JEFF GUTCHEON : Piano
  • BOBBY NOTKOFF : Violin
  • TREVOR LAWRENCE : Bariton Sax
  • PETER ECKLUND : Trumpet
  • GENE DINWIDDIE : Tenor Sax
  • MUNC BLACKBURN : Alto Sax
  • JUNIOR TURLOCK : Bass
  • STU BROTMAN : Bowed Bass, Bass Trombone
  • BILLY WOLF : Bass⑩


Produced by Nobody ! (Geoff Muldaur)
JOE BOYD produce on ⑩
 今回も、ワーナー・ブラザーズ・レコード50周年企画との勝手な連動企画(オーバーかな)としてアメリカン・ルーツ・ミュージックの名盤の御紹介です。

 ボストンを中心に活動していたジム・クエスキン・ジャグ・バンド(ジャグ・バンドとしては唯一ともいえるほど成功した)のメンバーだったジェフとマリアの夫婦が、バンド解散後に発表したデュオ作品の第2弾です。第1弾の『Pottery Pie』も、この作品同様にルーツ・ミュージックを探求していて甲乙つけがたい作品なのですが、ジャケットの素晴らしさとまとまりの良さでこちらを先にご紹介します。

 このデュオの魅力は、なんといっても魅力的なヴォーカルと素晴らしいアレンジ力、それにそれを支えるバックのメンバーの技量の高さです。テレキャスターを自在に操りそれとなく素晴らしい味付けをするネック・ベンディングの達人で星屑ギターの異名をとるエイモス・ギャレット。このデュオとの共演からジェフとエイモスは長い付き合いになって行きます。ギタリストとしてもうひとり、ジェフの音楽には欠かせないペダル・スティール・ギター奏者のビル・キース。彼の味付けなくしてはノスタルジック性が半減してしまいます。そして、シカゴ・ブルースの大御所でブルース・ハープの名手であるポール・バタフィールドなど、魅力的なヴォーカルに負けないどころか、さらに魅力を付加する大きな役割を担っているのです。この作品を契機に、ポール・バタフィールドは、ジェフやエイモスを誘ってポール・バタフィールズ・ベター・デイズを結成し名盤『Paul Butterfield's Better Days』を1973年に発表します。

さて、本題に入りましょう。一曲目は、カントリーの定番(?)ともいえるトレインもので、1940年代のデルモア・ブラザーズのカヴァーです。スティール・ギターをはじめとして、ギター、パーカッションそれぞれが蒸気機関車の音の一部を演奏し雰囲気を盛り上げています。爽快感に溢れた作品です。二曲目は、南国ムード満点のエキゾチックな作品。ジェフのヴォーカルもさることながら、ポール・バタフィールドのブルース・ハープがムードを盛り上げており、エイモスのギターもさりげなくバックアップしているという粋な作品です。三曲目は、エイモスのギターが十二分に堪能できる作品です。やさしさ溢れるジェフのヴォーカルを包み込むようなヴァイオリンにも注目してください。4曲目は、ブルース、ジャズなどが渾然一体になったミドル・テンポの作品です。エイモスが、トロンボーンを吹いています。 5曲目は、ノスタルジックなムード満点のオールド・ジャズ。ジャフの原点ここにありというべき作品です。

6曲目は、4曲目同様にジェフ・ガッチョンの作品でブルース・ナンバーです。ジェフのヴォーカルをしっかりと支えるメンバーの落ち着いた演奏が光る作品でもあります。7曲目は、マリアのヴォーカルとジェフ・ガッチョンのピアノ伴奏のみというシンプルな構成ではありますが、妖艶なマリアのヴォーカルには余分な味付けはいらないということでしょう。8曲目は、アップ・テンポのカントリー・ナンバーです。エイモスのギターとビル・キースのペダル・スティール・ギターの競演が見事な作品で、思わず腰が動いてしまいます。9曲目は、ビリー・ホリデイのヴォーカルで有名なジャズ・ナンバーですが、それに勝るとも劣らないマリアの艶やかな声にうっとりしてしまいます。もちろんマリアのヴォーカルに付き物(?)のエイモスのベンディングや星屑ギターも堪能できます。最後の曲は、独特のスタイルで有名なミシシッピ出身のブルース・マンであるスキップ・ジェイムズのカヴァーです。この作品を、ジェフは独特の解釈により魅力的な作品にアレンジしています。

この作品を最後に二人は離婚してしまいますが、最初に書いたように夫のジェフはポール・バタフィールドやエイモス・ギャレットとともにベター・デイズを結成し活躍しますし、マリア・マルダーもそのままの名前で『真夜中のオアシス』を1973年に発表し、その中のタイトル曲の「真夜中のオアシス」が大ヒットしトップ・シンガーの地位を手に入れます。

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