WEEKLY PICKUP 067 REFUGEE |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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モーグ博士が開発したムーグ(モーグ)・シンセサイザーの生音をはじめて聴いたのは中学3年生。お金持ちの息子たちで結成され、プログレを模倣していた2級先輩のバンドの練習に立ち会ったときだった。その千変万化で圧倒的な音に魅了されプログレのレコードを購入し始めたのです。そして、数年後にイエスの『リレイヤー』の素晴らしさに感涙の涙を流していた時、あのお金持ちの先輩(大学生になってた)が不意に現れ渡してくれたのが、今回ご紹介する『レフュジー』だったのです。さすがにお金持ちは違う、そのほかにも結構いただいたりしているのです。 早速、立派なステレオと録音機器を持っている友達の家で視聴。のっけからの凄まじいバトルに「うぉー」と言ったきりあとは全員無言のままA面が終了と言う具合に圧倒されたのを覚えています。この歳になってしまうと緊張感のある作品に手が伸びなくなるのですが、ウエストコースト系のアーティストのアップが続いていたので気分転換のつもりでアップしてみました。ユニバーサル・ミュージックのインポート・ミュージック・サービスから紙ジャケも発売(ストレンジデイズ検索が早いかな)されており手に入り易くなっていますので、キーボードが好きな方でしたらお薦めの一枚です。輸入盤ですが、4月には『Live in Concert: Newcastle City Hall 1974』も発売になっています。 P.モラーツ以外のメンバーはナイスのメンバーですが、キース・エマーソンがELP結成のために脱退した後、B.デビッドソンは「Brian Davidson's Every Which Way」を結成し70年に同名のアルバムを発表しますが短命に終わります。L.ジャクソンもジャクソンハイツというグループを結成し、こちらはなんと4枚のアルバムを発表しますがインパクトがなかったからか、こちらも解散。最後の作品などは足を組んで太ももを露にした貴婦人を覗き込んでいるメンバーが写る洒落たジャケットだったんですが、BGM的な曲が多くジャケに負けちゃったかな。そして、ナイス時代にセッションをした経験があったメインホース(非常にナイス的)のメンバーだったP.モラーツにL.ジャクソンが電話をかけ新しいグループ結成に至るのです。そうした動きは、ELPの成功に触発されたことは容易に想像できますし、素晴らしいテクニックを持った二人にとってナイスの栄光をもう一度という自信もあったのではないでしょうか。その自信どおり、この作品はキーボード・トリオの作品として傑作の仲間入りをしてもおかしくない作品です。 アルバムは、P.モラーツが自在に操る最先端のキーボード群やピアノとアップライトのベースの対比が素晴らしい作品から始まります。蝶のように飛び回るキーボードに正確にリズムをキープする手数の多いドラムが加わり緊張感のあるスリリングな展開がたまらない作品です。ELPを意識したような作風の2曲目。力入り過ぎだろうというL.ジャクソン(たぶん)のヴォーカルはご愛嬌としても、P.モラーツの美しいジャジーなエレピや雰囲気を盛り上げるシンセには脱帽です。3曲目は、5部構成の17分にも及ぶ大作です。題名の通り4000万年前から始まったコロラド川の浸食によって創られた神聖な大地「グランドキャニオン」を題材にした作品です。源流から旅は始まり次第に荒々しい姿をみせ始めるコロラド川、美しいヴォーカル部に続いてついに本性を表すグランドキャニオン、壮大な世界が見事に表現された作品です。 4曲目からがアナログではB面になります。ジャジーに始まりますが、硝子が割れファンキーなロックに、時にはクラシカルにとP.モラーツの独壇場。しかし、その旋律を支えている脇役のリズム隊がしっかりしているからこその作品です。最後は、ピアノ・ソロに始まる8部構成の大曲です。ジャズ、ロック、クラシックがクロスオーバーした作品ですが、キレの良い部分とそうでない部分があり後味はすっきりしないという感じです。ただ、リターン・トウ・フォーエヴァーの幻想的だった頃とパワフルになった頃が同時に楽しめる部分もあったりしてP.モラーツの懐の深さが感じられます。 |