WEEKLY PICKUP  055 GEILS
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています
MONKEY ISLAND (1977)


  1. SURRWNDER
  2. YOU'RE THE ONLY ONE
  3. I DO
  4. SOMEBODY
  5. I'M FALLING
  6. MONKEY ISLAND
  7. I'M NOT ROUGH
  8. SO GOOD
  9. WRECKAGE
THE SHELTER PEOPLE
  • PETER WOLF : VOCALS
  • SETH JUSTMAN : KEYBOARDS, VOCALS
  • MAGIC DICK : HARMONICAS
  • J.GEILS : GUITARS
  • DANNY KLEIN : BASS
  • STEPHEN JO BLADD : PERCUSSION, VOCALS
PRODUCE : THE J.GEILS BAND
渋い!思わずそう叫んでしまう、J.ガイルス・バンドのアトランティックからの最後の作品です。世の中はディスコにファンク、AORと花盛りの年。しかし、そんな流行はまったく気にせず、ひたすらわが道を行く。そんな彼らに感動すら覚えた一枚です。

もともとブルース・ハープを含めた土臭いシカゴ・ブルース的な作品で直球勝負を挑んできた彼ら。ライヴの評判が高くこれまでに2枚のライヴ作品:『Full House Live』、『Blow Your Face Out 』を発表しています。ノリノリの彼らも素敵ですが、計算された(?)スタジオ録音盤の彼らも素敵なんです。今回紹介する作品では、音作りに少し変化がみられます。今までに比べるとガイルスのギターが前面に出てきているような気がします。それに加えて、それぞれの楽器の音がクリアーになっていてキレが増していますし、ハードな面も多く見せるようになっていると思えます。

キレのあるギターにドラム、弾けるようなベース、センス抜群のオルガン、そしてソウルフルで力強いピーター・ウルフのヴォーカル、ハイテンションでアルバムは始まります。粋な女性コーラスの使い方にも彼らのセンスを感じずにはいられない名曲です。2曲目では、ミディアム・テンポの美しいコーラスを主体としたラヴ・ソングで勝負。ここらあたりの曲構成にも頭が下がります。クラッピングが楽しいドゥワップ風の3曲目は、ピター・ウルフのヴォーカルに加えてセンス抜群のホーン・アレンジが光っています。ガイルスのハードなギターとジャストマンのキーボードが印象的な4曲目。J.ガイルス風のハード・R&B・ロック(?)とでも形容しておきましょう。他のどのバンドにもまねのできない作品だと思います。5曲目は、素晴らしいアンサンブルが楽しめるスロー・バラード。透明感のあるバックの演奏がヴォーカルを盛り上げています。マイケル・ブレッカーによる最後のサックス・ソロには感動です。チョット大仰な間奏部のストリングスはサービスということで。

これぞまさしくJ.ガイルス・バンドというタイトル曲の6曲目は、前半がスカパラ的なホーンが魅力のインスト中心、後半がヴォーカル中心の作品です。それぞれの力量が発揮されてジャジーでソウルフルな緊張感のある作品に仕上がっています。前半部は、マジック・ディックによるトランペット、後半はハープがいい味出してます。後半は、非常にドラマティックな作りになっていて怪しげなメロディやフレーズが印象的です。ラグタイム・ブルース的というのでしょうかジャグ・バンド風の7曲目。大曲の後の息抜きにどうですかとでもいうような軽いノリで演奏される味のある作品です。R&Bの8曲目は、ソウルフルなヴォーカルに絡む女性コーラスやホーンが小気味良い作品です。思わず踊ってしまいそう。アコースティカルでフォーク調に始まる美しいメロディを持った9曲目は、次第にロック色が強くなっていき最後のインスト部分ではヘヴィ・メタリック・バンド的なアプローチによるギター・ソロでフェード・アウトします。

この作品くらいから日本においても人気が出てきたのではないでしょうか。今の若い人たちには、こんなロックもあるんだよと教えてあげたい一枚です。

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