WEEKLY PICKUP 052 JUDUS PRIEST |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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ハード・ロックに限らずロック全体が低迷する70年代後半。その時期に彗星のごとく現れ、今もなお活躍を続けるバンド:ジューダス・プリーストのセカンド・アルバムです。パトリック・ウッドロッフによる美しいカヴァー・アートも衝撃的だったのですが、針を落とすとその衝撃が2倍にも3倍にもなったのです。鋭角的なギター・リフと天にも昇りそうなギター・ソロにツイン・リード、そして驚異のスクリーミング・ヴォイス、それらは今もなおヘヴィ・メタルの基本形として踏襲されています。”メタル・ゴッド”と称されるジューダス・プリーストの真の意味でのスタートの姿がこの作品にあるのです。 1974年に新興レーベルのGULL RECORDSからファースト・アルバム『ロッカ・ローラ(コカ・コーラのロゴを引用したジャケ)』を発表したものの全く話題にならず、1976年にバンドの欠点であったドラマーがアラン・ムーア(セカンドのみで脱退)に交替し体制がほぼ整います。「ほぼ」というのは、まだまだドラムに難ありという意味です。 アルバムはフェード・インで始まります。いきなりのハード・エッジなギターのリフだと心臓に悪いから配慮してくれたのでしょうか(笑)。地の底から這い出してくるような冒頭のギター・リフが特徴の作品ですが、いきなりのスクリーミング・ヴォイスにも驚かされます。8分近い作品なのですが、聴き手を飽きさせない曲構成とスピーディーな展開は2枚目とは思えないほどの完成度の高さを誇ります。続く2曲目は私の大好きな作品で、”メタル・ゴッド”の称号に値する名曲です。若干ですがユーライア・ヒープ的な感じもしますが、ツイン・ギターの使い方やヴォーカルとギターのハーモニーに斬新さが感じられたのを思い出します。3曲目は、ヴォーカルの素晴らしさが堪能できる美しい作品です。哀愁感たっぷり(ちょっとスパニッシュ)のギターをバックに切々と歌われるメロディ、ドラマティックです。それに続くように始まる4曲目は一転してハードな作品です。スピーディーでハードなR&Rタイプの曲で畳み掛けてくるようなギター・リフなどギターの醍醐味を味わえる作品です。 アナログではB面トップの5曲目は荘厳でクラシカルな葬送曲風の作品です。伸びのあるギターが胸を打つ作品です。6曲目は、スピーディーな作品で非常にまとまりのある作品です。70年代初頭のハード・ロックをベースにしながらもツイン・ギターによるユニゾンでの展開や豊かなギター・リフなどアイデア満載の曲です。7曲目は、1曲目同様に曲構成の面白さが堪能できる長尺の作品ですが、1曲目よりも重戦車のようなパワーで押し切るヘヴィな作品です。8曲目は、少し毛色の違う作品で、ピアノをバックにクィーン風のコーラスが聴けるメロディアスな曲です。それに続くように始まる9曲目は、クィーンの「ブライトン・ロック」風のギター・リフから始まりますが、その後の展開はドラマティックな構成になっておりジューダス・プリーストのオリジナリティの高さと豊富なアイデアが満載の作品です。 それにしても工業都市バーミンガムという土地柄はハード・ロックが生まれやすい土壌があるのでしょうか。ブラック・サバス、ロバート・プラント、ジョン・ボーナム、グレン・ヒューズのトラピーズそしてジューダス・プリースト。 |