WEEKLY PICKUP  052 JUDUS PRIEST
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています
SAD WINGS OF DESTINY (1976)


  1. VICTIM OF CHANGES
  2. THE RIPPER
  3. DREAMER DECEIVER
  4. DECEIVER
  5. PRELUDE
  6. TYRANT
  7. GENOCIDE
  8. EPITAPH
  9. ISLAND OF DOMINATION
  • K.K.DOWNING : GUITARS
  • GLENN TIPTON : GUITARS, PIANO
  • ROBERT HALFORD : VOCALS
  • IAN HILL : BASS
  • ALAN MOORE : DRUMS
PRODUCE : JEFFREY CALVERT,MAX WEST AND JUDAS PRIEST
ハード・ロックに限らずロック全体が低迷する70年代後半。その時期に彗星のごとく現れ、今もなお活躍を続けるバンド:ジューダス・プリーストのセカンド・アルバムです。パトリック・ウッドロッフによる美しいカヴァー・アートも衝撃的だったのですが、針を落とすとその衝撃が2倍にも3倍にもなったのです。鋭角的なギター・リフと天にも昇りそうなギター・ソロにツイン・リード、そして驚異のスクリーミング・ヴォイス、それらは今もなおヘヴィ・メタルの基本形として踏襲されています。”メタル・ゴッド”と称されるジューダス・プリーストの真の意味でのスタートの姿がこの作品にあるのです。

1974年に新興レーベルのGULL RECORDSからファースト・アルバム『ロッカ・ローラ(コカ・コーラのロゴを引用したジャケ)』を発表したものの全く話題にならず、1976年にバンドの欠点であったドラマーがアラン・ムーア(セカンドのみで脱退)に交替し体制がほぼ整います。「ほぼ」というのは、まだまだドラムに難ありという意味です。

アルバムはフェード・インで始まります。いきなりのハード・エッジなギターのリフだと心臓に悪いから配慮してくれたのでしょうか(笑)。地の底から這い出してくるような冒頭のギター・リフが特徴の作品ですが、いきなりのスクリーミング・ヴォイスにも驚かされます。8分近い作品なのですが、聴き手を飽きさせない曲構成とスピーディーな展開は2枚目とは思えないほどの完成度の高さを誇ります。続く2曲目は私の大好きな作品で、”メタル・ゴッド”の称号に値する名曲です。若干ですがユーライア・ヒープ的な感じもしますが、ツイン・ギターの使い方やヴォーカルとギターのハーモニーに斬新さが感じられたのを思い出します。3曲目は、ヴォーカルの素晴らしさが堪能できる美しい作品です。哀愁感たっぷり(ちょっとスパニッシュ)のギターをバックに切々と歌われるメロディ、ドラマティックです。それに続くように始まる4曲目は一転してハードな作品です。スピーディーでハードなR&Rタイプの曲で畳み掛けてくるようなギター・リフなどギターの醍醐味を味わえる作品です。

アナログではB面トップの5曲目は荘厳でクラシカルな葬送曲風の作品です。伸びのあるギターが胸を打つ作品です。6曲目は、スピーディーな作品で非常にまとまりのある作品です。70年代初頭のハード・ロックをベースにしながらもツイン・ギターによるユニゾンでの展開や豊かなギター・リフなどアイデア満載の曲です。7曲目は、1曲目同様に曲構成の面白さが堪能できる長尺の作品ですが、1曲目よりも重戦車のようなパワーで押し切るヘヴィな作品です。8曲目は、少し毛色の違う作品で、ピアノをバックにクィーン風のコーラスが聴けるメロディアスな曲です。それに続くように始まる9曲目は、クィーンの「ブライトン・ロック」風のギター・リフから始まりますが、その後の展開はドラマティックな構成になっておりジューダス・プリーストのオリジナリティの高さと豊富なアイデアが満載の作品です。

それにしても工業都市バーミンガムという土地柄はハード・ロックが生まれやすい土壌があるのでしょうか。ブラック・サバス、ロバート・プラント、ジョン・ボーナム、グレン・ヒューズのトラピーズそしてジューダス・プリースト。

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