WEEKLY PICKUP 046 BLACKMORE'S RAINBOW |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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ブリティッシュ・ロック全体のマイ・ベスト10にあと一歩というぐらい好きなアルバムなのです。バック陣の不甲斐なさを二重、三重のオーバーダビングで乗り切っているリッチー・ブラックモアの涙ぐましい努力を考えると涙が出てきます。次作の『レインボウ・ライジング』が名作であるばかりに余計に比較されやすくなっています。バンド・アンサンブルとして捕らえずに、当初の目的どおりリッチーのソロ・アルバムとして楽しめばギター・オリエンテッドな名作であるのは揺るがない事実なのです。 ディープ・パープルの『嵐の使者』では、ソロ・パート以外にリッチーのギターが入っていない曲もあったりしてバンドの亀裂が修復不可能であることを予測させていましたが、リッチーの脱退が現実のものとなったときの驚きは計り知れないものがありました。そして、喧嘩相手?のグレン・ヒューズや新生ディープ・パープルに真っ向から対決するかのごとき作品で答えを出したのでした。 アルバムは、印象的なギター・フレーズと歌唱力抜群のディオの歌で始まります。ミディアム・テンポのハードな曲こそ、この二人の右に出る人はいないという感じです。ハード・ロックの名曲です。2曲目もミディアム・テンポの曲ですが、後半部のリッチーのソロには感涙です。久しぶりにリッチー節が……。3曲目は、アップテンポのR&Rタイプの曲です。リッチーがディープ・パープルを脱退するきっかけになった作品で、脱退前にシングル用としてエルフのメンバーと録音されましたが発売には至りませんでした。4曲目はスローでメロディアスな作品です。リッチーの美しいギター・フレーズとメロトロンの導入が徐々に曲を盛り上げていきます。静かな中に秘めた力を感じ取ることのできる名曲です。 5曲目は、スピーディーでハードなパープルタイプのナンバーです。リッチーのギターが三重になって重厚な作品を作り上げています。ディオの歌唱力もリッチーのギターに負けていません。6曲目は、後のBlackmore's nightにもつながる中世的なメロディが印象的なスロー・ナンバーで、リッチーのアコースティックとエレキ・ギターによる演出が素敵な作品です。4曲目もそうでしたが、リッチーのこんなにやさしい音色を想像することはできませんでしたねぇ。7曲目は、ストレートなR&R。こういうスタイルのギターもなかなか聴けません。8曲目は、「シャーウッドの森に住んでいるヒーロー、ロビン・フッドが作った」と、リッチーに言わしめた作品で、中世風のメロディにハードなギターを組み合わせた素晴らしい作品です。詩の内容もロビン・フッドの映画のような設定になっています。9曲目は、ヤード・バーズのヒット曲のカヴァーです。リッチーは、この作品を完全なインスト曲としてアレンジしてしまいました。始めてこのアルバムを聴かれる方は、違和感なくオリジナルだと思われるのではないでしょうか。スピーディーでエキサイティングなリッチーのギターが堪能できます。次作でハード・ギター・プログレ?を完成させるリッチーですが、この段階で下地はできていたんでしょうね。 |