WEEKLY PICKUP 040 GRAND FUNK RAILROAD |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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アメリカン・ハード・ロックの元祖:グランド・ファンク・レイルロードのファースト・アルバムです。完成度の高さでは3枚目『クローサー・トゥ・ホーム(1970)』、インパクトの強さでは『ライヴ・アルバム(1970)』、売り上げではトッド・ラングレンをプロデューサーに迎えて方向転換を図って大成功した『アメリカン・バンド(1973)』ということになりますが、忘れてはいけない名曲が含まれていたり、バンドの原点を確認できる第1作を忘れてはいけません。 1960年以前に生まれた人たちの間では71年の後楽園での雷雨の中の来日コンサートが伝説化していて、まさにハード・ロックの王者として人気がありました。膝を着き、長髪を振り乱しながらギターを弾くマーク・ファナーのワンマンバンド的で荒々しいイメージが強いGFRですが、クリームなどと同じく最少人数の3人でのバンド構成からはじき出される音楽は、ブルースをベースにしたオーソドックスなロックなのです。それに加えて、アメリカ出身と言う事もありR&Bやジャズなどの影響も見られ、当時としては最高の完成度を誇ったバンドだったのです。ただ、ハード・ロックといえばブリティッシュ・ロックというのが一般的なお決まりごとだったこともあり、アメリカン・ハード・ロックの道をマウンテンやブルー・オイスター・カルトなどとともに切り開いた功績は、あまり評価されることなく70年代の終焉とともにみんなの気持の中から消えていったのです。悲し〜いことです。 と、いうことで再認識していただくためのアルバムは、「アー・ユー・レディ」から始まります。タイトルどおり『じゃ!いくよ!』といった具合にノリ良く始まります。シンプルでタイトなドラムにブンブンのベース、スピーディなリズム隊に威勢の良い掛け声のような歌声が最高です。そして歪んだギターのソロ、ハード・ロックの初期の特徴を如実に現していて感涙ものです。アンプを精一杯使って歪んだ音を作り出す、そうゆう楽しい時代でもありました。2曲目は、バンドの底力が発揮された作品です。印象的なギターリフにぶんぶんベースの前半とコーラスを効果的に用いてドラマティックに展開される後半、3人が見事に一体となった作品です。3曲目は、ブルース・ハープも入ってブルース色濃厚ないかした曲です。シングル・カットされた曲でもあります。4曲目もブルース色が強い曲ですが、重たいリズム隊に絡むディストーションのかかったハードなギターが唸りを上げます。間に入るピアノも良いアクセントになってます。5曲目は、スタジオ録音としては珍しく長めのドラム・ソロが入った作品です。曲自体はスピーディでファンキーなロック、当時流行っていたギターの早弾きも堪能できます。 6曲目は、軽めの明るいトーンのギターがさわやかな印象を与えてくれる前半のインスト部とハード・ポップな感じの歌とギターのカッティング奏法が効果的に使われている後半部の楽しい構成の作品。7曲目は、美しいメロディとドラマティックなコーラスで展開される名曲中の名曲。マーク・ファナーのギター・リフとソロは、若者の教本的な存在として有名でした。8曲目は、縦横無尽に活躍するドラムがフィーチャーされたスピーディなアメリカン・ハード・ロック。9曲目は、ユーライア・ヒープも真っ青のコーラス・ワークで始まる落ち着いた感じの曲ですが、マーク・ファナーのヴォーカリストとしての力量が再認識できる曲です。でも、72年前後のユーライア・ヒープの曲調に似ているのが興味深い、聴き返して良かった作品のひとつです。最後のヘヴィでブルージーな演奏も見事ですよ。最後の曲は、ポップなセンスに溢れた作品ですが、スピーディーな展開のインスト部分を導入したり曲構成に凝った作品です。 マーク・ファナーが目立ってはいますが、きっちりとリズムをキープするドラムのドン・ブリュアーと最小構成のバンドの基礎を支えているメル・サッチャーのベースにも注目して聴いてみてください。 |