WEEKLY PICKUP 033 DAVE MASON |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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どういうわけか、デイヴ・メイソンの近くには天才がいます。トラフィック時代は、スティーヴ・ウィンウッドばかりが話題になり脱退と再加入を繰り返します。アメリカン・ミュージックへ傾倒し名作『アローン・トゥゲザー』を発表、そこにエリック・クラプトンが現れて、名作『レイラ』を発表。歴史的な作品を発表しても話題になるのは、その天才たち。挙句の果てにレコード会社との権利問題のトラブルで活動休止を余儀なくされる。何とも運のない人です。しかし、これでめげないのもデイヴ・メイソンの素晴らしいところです。 CBSへ移籍し『忘れえぬ人』で復活するのが1973年です。その後、デイヴ・メイソン・バンド(バンド名:メロン)として自身の名をとった『デイヴ・メイソン』を発表し、バンドとして活動を続けていきます。このバンドでは、ジム・クリューガーというギタリストの加入によってギターのリード・パートも任せることができるようになり、ヴォーカルに専念する曲も出てきました。そのバンドとしての成果がはっきりと現れたのが、今回紹介する『スプリット・ココナッツ』なのです。もちろん、ギターも十分堪能できます。ツイン・リードもです。 ハイハットの軽やかなリズムにファンキーなベースで始まるタイトル曲「スプリット・ココナッツ」は、デイヴ・メイソンが移り住んだカリフォルニアのように、カラッとした空気が漂う名曲です。のんびりした雰囲気とデイヴ・メイソンの声が素敵な2曲目は、レゲエのリズムに乗った女性コーラスがいいアクセントになった夏向きの曲です。3曲目は、デイヴ・メイソンのアコースティック・ギターをフィーチャーした美しいメロディーを持ったウエスト・コースト風のサウンドです。4曲目は、デヴィッド・クロスビーとグレアム・ナッシュのバックコーラスが爽やかでCS&Nを思い起こさせます。5曲目は、ファンキーでタイトなブルージーな作品。メリハリのあるリズム隊とギターに力強いメイソンの声が最高です。 ジム・クリューガーがリードをとる6曲目は、メイソンらしい美しいメロディの哀愁感漂う曲で、バンドとしての落ち着きが十分に感じられます。7曲目は、タイトルそのままツイン・ギターのユニゾンで始まる曲です。バンドの持ち味を生かした二人のギタープレイが聴き所です。8曲目もタイトルのようにゆったりとしたスウィートな曲で、南部の香りがする演奏が魅力的です。最後の曲は、メイソンの持ち味であるブリティッシュ・トラッド的なメロディに美しいギターが絡む素敵な曲です。ブリティッシュとアメリカン・ロックの合体です。 歯切れの良いリズムに泣きのギター(しかもツインで)がメイソンの味わい深いヴォーカルを盛り上げる名作です。どちらかというと、からっと晴れた日などの夏向きのアルバムです。スカッと爽やかな気持ちにさせてくれますよ。 |