WEEKLY PICKUP  029 J. GEILS BAND
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています
THE MORNING AFTER(1971)


01 I DON'T NEED YOU NO MORE
02 WHAMMER JAMMER
03 SO SHARP
04 THE USUAL PLACE
05 GOTTA HAVE YOUR LOVE
06 LOOKING FOR A LOVE
07 GONNA FIND A NEW LOVE
08 CRY ONE MORE TIME
09 FLOYD'S HOTEL
10 IT AIN'T WHAT YOU DO


PETER WOLF : Vocals
SETH JUSTMAN : Keyboards
MAGIC DICK : Harp
J. GEILS : Guitar
DANNY KLEIN : Bass
STEPHEN BLADD : Drums
ボストン出身の6人組、魂のブルース・バンド、J.ガイルス・バンドのセカンドです。グループの名前は、リーダーでギタリストのジェローム・ガイルスの名前からつけられたもので、J.ガイルス・バンドの母体となったのがジェローム・ガイルス率いるJ.ガイルス・ブルース・バンドだったのです。そこに合体するように、ハリュシュネイションズというバンドのメンバーで、DJもやっていたというピーター・ウルフが参加、それにスティーブン・ジョー・ブラッドとセス・ジャストマンも加わって、6人編成のブルース・ロック・バンドとして、スタートします。 1968年に活動を開始した彼らは、地道なライヴ活動が実ってライヴ・ハウスのフィルモア・イーストに出演の機会を得ます。フィルモアのオーナーであったビル・グレアムが惚れ込んでいたらしく、ビル自身が個人的に呼んだバンドであると観衆に紹介したらしいです。

彼らには、レコード会社に所属していた時期によりアトランティック時代(70年代後期まで)とEMI時代(70年代後期以降)とがありますが、このアルバムはアトランティック時代の2枚目です。まだまだ粗さの目立ったファーストに比べて完成度も上がっています。独自のブルース・ロックを確立しつつあるといった感じです。とくに、J.ガイルスのセンス溢れるギターは、地味ですが要所要所を締める役割を担っており一聴の価値ありです。もちろん、バンドのフロントでもあるピーター・ウルフのヴォーカル、マジック・ディックのブルース・ハープも最高です。このアルバムを聴いたとき、最初に思ったのは「ハモニカ吹きたい」でした。楽器店で見たら何千円もしたのには驚きましたが。中学生には、とてもとても・・・。

初期のJ.ガイルズバンドの代表作は『LIVE! Full House』などのライヴ・アルバムが一押しなのですが、じっくりと作られたスタジオ盤もクールな面が強調されていて聴く価値ありです。アメリカのローリング・ストーンズと呼ばれた彼らの曲調は、ロンドンのブルースやR&Bをベースにしたものですが、ブルース・ハープを前面に押し出しているところなどはポール・バターフィールドなどのシカゴ・ブルース、R&Bの影響も強く受けているように思えます。

このアルバムは、ローリング・ストーン誌で1971年度のベスト・ニュー・バンドに選出された勢いがそのまま反映されたクールでタイトな作品です。リズミカルな作品ばかりでなく、4曲目のしっとりとしたバラードもピーター・ウルフの歌唱力が光る作品です。全曲で、ギターとハープ、キーボードの掛け合いやセンス抜群の演奏を聴かせてくれます。

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