WEEKLY PICKUP 028 ATOMIC ROOSTER |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
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Produce by VINCENT CRANE AND ATOMIC ROOSTER |
アトミック・ルースターといえば、カール・パーマーが在籍していたバンドとしてプログレ・ファンでも名前を知っているハード・ロック系のバンドですが、肝心の音の方を知っている人は少ないのではないでしょうか。カール・パーマーが在籍していたファースト・アルバムではハードでありながらプログレっぽい感じがしていましたが、セカンドでは、新加入のジョン・カーンのギターを前面に出して、よりハードに変身し支持層を増やしていきます。 このアルバムは、彼らの第3作目に当たります。この作品から専任のヴォーカリストに元ブランニング・サン・フラワー・ブルース・バンド、リーフ・ハウンドのピーター・フレンチを迎えていますが、その効果は絶大で、それまでの暗くなりがちだった独特の曲調に幅を持たせています。 一応、ハード・ロックにはジャンル分けしていますが、ひとつのジャンルには収まりきれないというのが本音です。それを証明するかのようなファンキーでハードな緊張感漂う1曲目からスタートします。アコースティック・ピアノがリズミカルに弾け、ピーター・フレンチがシャウトする力強い曲ですが、楽器編成の少なさを見事にアレンジでカヴァーしています。2曲目は、アトミック・ルースターお得意の曲。ハードなギター・リフに絡むハモンド・オルガンやシャウト系のヴォーカルは、このバンドの売りですが、パープルなどとは違って地味ですがタイトにまとめられています。3曲目は、美しいアコースティック・ピアノをバックに歌うピーターの歌の上手さか光る曲です。美しいメロディですが、叙情的になりすぎない不思議な印象が残る曲です。4曲目は、スピーディに展開されるハードな曲でギターとオルガンのユニゾンでの絡みやソロの展開にセンスが感じられるインストです。5曲目は、ヴィンセント・クレインがヴォーカルをとるミディアム・テンポの魅力的なブルース。曲の雰囲気と声の質がよくマッチしていて、妖気漂う不思議な雰囲気を醸し出しています。 6曲目は、ハードなギター・リフとそれに絡むハモンドオルガンがスリリングな展開をする曲です。ハードなギターが前面に出て大活躍です。第2期ディープ・パープルをソリッドにしたような感じでしょうか。7曲目は、ホーン・セクションが加わってR&B、ブルース、ジャズなどアレンジのセンスが光るインスト曲です。ホーン・セクションの使い方にもセンスの良さを感じますが、何と言ってもエフェクト処理されたエッジの効いたギターには感動です。最後は、重たいリズムで展開されるブルージーなハード・ロックです。ギターもオルガンも良い演奏を聴かせてくれていますが、ヴォーカリストのピーター・フレンチが光っている曲です。 このバンドの魅力は、聴くものを圧倒する力強さなのですが、チョット地味なのが日本での人気を決定的に出来なかった理由でしょうか。当時の日本では、何と言ってもギター中心のバンドに人気があり、キーボードといえばクラシカルなプログレ・バンドの独壇場でしたから。評価が低くて残念です。 |