WEEKLY PICKUP 027 KISS |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
![]() 01 STRUTTER 02 NOTHIN' TO LOSE 03 FIREHOUSE 04 COLD GIN 05 LET ME KNOW 06 KISSIN' TIME 07 DEUCE 08 LOVE THEME FROM KISS 09 100,000 YEARS 10 BLACK DIAMOND PAUL STANLEY : Guitar, Vo. ACE FREHLEY : Guitars, Vo. GENE SIMMONS : Bass, Vo. PETER CRISS : Drums, Vo. Produce by KENNY KERNER AND RICHIE WISE |
KISSのデビュー・アルバムです。わかりやすく誰でも口ずさめるメロディー、あのビートルズを意識して作られたアルバムなのです。ジャケットの表も大写しの顔が並んだ初期のビートルズ風なのが徹底しています。 KISSの魅力は、ど派手なライヴ・パフォーマンスにあるのは周知の事実ですが、そのライヴにおける重要なレパートリーになっていた曲が半分以上を占めているアルバムなのです。ということは、初期の目標どおり、わかりやすく誰でも口ずさめるメロディーの曲でありメンバーの自信がある曲で構成されているということだと思います。 イスラエル生まれでニューヨーク育ち、教師の経験もあるジーン・シモンズが、バンド活動の中で知合ったポール・スタンレイとともに結成していたWICKED LESTER(デビュー寸前までいっていたようです)を発展させる形でKISSは出来上がっていきます。「売れるためなら何でもやるドラマー」という広告をローリング・ストーン誌に掲載していたピーター・クリスをルックスで採用、半年間の練習の後、ヴィレッジ・ヴォイス誌にリードギターの募集を掲載します。数十人の応募の中から30番目に演奏をした左右色違いのスニーカーを履いていたエース・フレイリーを採用しライン・アップが整います。 ワーナー・ブラザーズ傘下のカサブランカ・レコードの契約第一号アーティストとして発表されたこのアルバムは、当時はほとんど話題にもならなかったのです。そのためメンバーは地道にライヴ活動を続けていきます。転機が訪れたのは、カサブランカ・レコードがワーナーより独立し発表されたサード・アルバム『DRESSED TO KILL』からの「ROCK AND ROLL ALL NITE」をデトロイトのDJがかけまくった頃からなのです。それまでよく我慢したものです。ずーとあのメイクで頑張っていたんですから。 そのがんばり屋さんKISSの原点が、デビュー・アルバムには詰まっています。8曲目の「LOVE THEME FROM KISS」のみがインストになっており、ユニゾンで迫るツイン・リード・ギターに南部的な香りを憶える曲です。その他の曲は、同じ曲調のハードな曲が並んでいますが、それぞれに工夫を凝らしてあり飽きることはありません。曲ごとに、覚えやすいギター・リフを繰り返していたり、少しだけブルースっぽいリード・ギターを入れたり、威勢の良いコーラスを挿入したりと聴き手を飽きさせない構成には脱帽です。演奏が飛びぬけて上手いわけではありませんが、メンバー全員一丸となってストレートにロックやってます、という感じです。ピーターのドラムも、たまに小技を使っていて楽しくなります。 ロックが細分化されて技術力がバンドの評価に繋がる風潮がはびこる中、楽しくなければロックじゃないよ、と言わんばかりの姿勢には、正直、頭が下がる思いでした。ポップさとハードさを上手く合体させた名盤だと思います。 |