WEEKLY PICKUP 025 ERIC JUSTIN KAZ |
WEEKLY PICKUPは、70年代を中心にしたロックの埋もれそうな名盤・迷盤を紹介しています |
![]() 01 CRUEL WIND 02 IF YOU'RE LONELY 03 TEMPTATION 04 TIME HAS COME 05 TONIGHT, THE SKY'S ABOUT TO CRY 06 CRY LIKE A RAINSTORM 07 MOTHER EARTH 08 WHEN I'M GONE 09 SOMEDAY, MY LOVE MAY GROW 10 CHRIST, IT'S MIGHTY COLD OUTSIDE ERIC KAZ(vo. piano, harmonica, acoustic g. ) GRADY TATE(drums) GEORGE DUVIVIER(bass) RICHARD DAVIS(bass) CHUCK RAINEY(e.bass) TONY LEVIN(e.bass) RALPH MAcDONALD(percussion, conga) DAVID SCHIFFMAN(conga) BONNIE RAITT(natinal steel g.) PAUL DICKLER(e.slide guitar) STEVE SOLES(e.guitar) |
1947年生まれでニューヨーク、ブルックリン出身のシンガー・ソングライター、エリック・カズ。 1972年に発表されたこのアルバムは、彼のデビュー作にして、代表作でもあります。数多くのシンガー・ソングライターの名作が誕生した70年代、その中でブルース・コバーンの『HIGH WINDS WHITE SKY』とともに大好きなアルバムです。ブルース・コバーンは、大地に根ざしたフォークシンガー、エリックは大都会の喧騒を忘れようと努力している都会派フォーク・シンガー。エリックの曲は大自然とともに聴くのではなく、都会の片隅の静かなバーか夜景を見ながら聴くのに適しているように思えます。エリックの曲は、ボニー・レイット、リンダ・ロンシュタット、アート・ガーファンクルなど多くのアーティストによって歌われているので作曲者として知っている方もいらっしゃるのでは。 このアルバムの歌詞は、別れや死などについて書かれた曲もあり内向的な印象もしますが、日本人には理解しがたい『神』という存在が重要になっています。曲調は、フォークをベースにジャズ、ゴスペル、R&Bなどが混在しセンス溢れる仕上がりになっています。ほとんどの曲でストリングス、コーラスが効果的に使われており、安らぎを与えてくれています。 ゆったりとした 『静かなる名盤』と呼ばれるアルバムは、スライドギターが効果的に使われた曲で始まります。二曲目は、ハーモニカの音が郷愁を誘う名曲です。ストリングスの導入も見事です。ボニー・レイットがギターで参加したご機嫌な3曲目に続いての4曲目は、ジャジーな曲でピアノのみによる弾き語り。5曲目は、心に染み渡るような透明感漂う美しいメロディが印象的です。人生の紆余曲折について歌われる6曲目に続いての7曲目は、アフリカの大地から響いてくるようなコンガとベースの音が印象的な曲です。珍しくエレクトリック系の楽器ではじまる8曲目は、カントリー・フォーク的作品でゴスペル調のコーラスがアクセントに使われています。9曲目は、ピアノをバックに歌われますが、間奏の哀愁あるハーモニカの音がたまりません。このアルバムを締めくくる10曲目は、再び『神』について歌った歌。アルバムを象徴する作品です。 セールス的には失敗といってもいい結果でしたが、時を経るごとに評価が高まっていきます。聴き手にとっては、このアルバムが少し先を行っていたのでしょうか?素朴なるがゆえに聴き手がその良さに気がつくのに時間がかかったのでしょう。このアルバムを発表後、73年にセカンド・アルバムを発表、76年にはアメリカン・フライヤー名義で、78年にはクレイグ・フラーとのディオでアルバムを発表し地道な活動を続けていきます。 そして、ソロ名義としては実に28年ぶりとなる作品『1000年の悲しみ』を2002年に発売。待望の初来日ツアーも行っています。 |