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ROCK STANDARD  035 PAUL SIMON
ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています
STILL CRAZY AFTER ALL THESE YEARS(1974)


  1. Still Crazy After All These Years
  2. My Little Town
  3. I Do It for Your Love
  4. 50 Ways to Leave Your Lover
  5. Night Game
  6. Gone at Last
  7. Some Folks' Lives Roll Easy
  8. Have a Good Time
  9. You're Kind
  10. Silent Eyes
  • PAUL SIMON : GUITAR, VOCALS
  • TONY LEVIN : BASS ③④⑤⑦⑧⑨⑩
  • DAVID HOOD : BASS ①②
  • GORDON EDWARDS : BASS ⑥
  • ROGER HAWKINS : DRUMS ①②
  • STEVE GADD : DRUMS ③④⑦⑧⑨⑩
  • GRADY TATE : DRUMS ⑥
  • HUGH McCRACKEN : ELECTRIC GUITAR ④⑦⑧, ACOUSTIC GUITAR ⑨
  • RALPH McDNALD : PERCUSSION ②③④⑥⑦⑧
  • RICHARD TEE : PIANO ⑥
  • BARRY BECKETT : ELECTRIC PIANO ①, PIANO②
  • BOB JAMES : ELECTRIC PIANO ⑦⑧
ポール・サイモン。私(1958年生まれ)の前後の世代には説明の必要のないほど知名度が高い人ですし、アート・ガーファンクルとのデュオは、激動の60年代から70年代の世界中の若者たちの心を癒してくれたんです。そのデュオを解散しソロとしてスタートしたポール・サイモンの3作目にあたるアルバムです。デュオ時代にソロ作品を1枚発表していますので実際には4作目です。解散後のアルバム『ポール・サイモン』、『ひとりごと』も順調にヒットし、シングル・ヒットも数多く生まれました。そして、このアルバムでグラミー賞を受賞。

しかし、順調に創作活動を続けるポールに対しては批判も多かったのです。ひとつには、彼がユダヤ系のニューヨーカーであるということ、ふたつめは、羽に衣を着せないシニカルでウィットに富んだ歌詞が原因ではないかと思います。インテリの多いユダヤ系アメリカ人に対する一般大衆の嫌悪感みたいなものが潜在意識としてあるんでしょう。

それはさておき、このアルバムの最大の話題は、70年に喧嘩別れのようにしてデュオを解消した二人が久しぶりに共演した「マイ・リトル・タウン」が収められたということです。もともとは、このアルバムに収めようとは思っていなかったというような記事を呼んだ記憶がありますが、アート・ガーファンクルがとても気に入ってデュオが実現したそうです。この曲は、もちろん名曲ですが、アルバム全体の流れとしては邪魔な感じがします。シングルのみの発売でよかったのではないでしょうか。シングルもアルバムも買ったのにな~。

アルバムは、バリー・ベケットの味のあるエレクトリック・ピアノが柔らかな広がりを与える「時の流れに(邦題)」ではじまります。ポールらしい美しいメロディーが落ち着きを与えてくれる名曲です。が、昔の恋人と再会し、捨てきれない自分の気持ちを歌った歌詞の内容は涙物です。2曲目は、アート・ガーファンクルとのデュエット、改めて二人のデュエットの美しさに感動した覚えがあります。3曲目は、ボブ・ジェームスがストリングス・アレンジを担当している叙情的な美しい作品。4曲目は、貧しいながらも愛をはぐくみあう二人を描いた3曲目とは逆に、危機を迎えた二人を描いた作品で心地よいリズムを刻むドラムとセンスの良い女性のバック・コーラスが曲を盛り上げています。5曲目は、S&G時代に戻ったかのようなやさしく語りかけてくれる作品。6曲目もデュエットですが、こちらは当時話題になっていたフィービー・スノウとのデュエットでノリの良いゴスペルタイプの曲です。ジャズ・フュージョンのグループSTUFFのゴードン・エドワーズとリチャード・ティーを従えた彼女の特徴ある声が、ポールの歌声とマッチしてセンスある都会的な雰囲気を醸し出しています。フィービー・スノウは、ウィットに富んだ④でもバッキング・ヴォーカルとして参加しています。7曲目は、ボブ・ジェームスが加わったジャジーでソウルフルな作品。落ち着いた味のある作品です。同じく、ボブ・ジェームスが加わった8曲目は、スライド・ギターをフィーチャーしホーンセクションが効果的に使われたファンキーな作品です。9曲目は、素朴な感じのフォーキーな曲。最後の曲は、ピアノをバックに始まる地味な感じの曲ですが、ストリングスや女性コーラスの導入とともに徐々に盛り上がるドラマティックな曲です。

このアルバムは、S&Gからの流れの総決算的な意味合いを持つ作品だと思います。この作品の発表後、精力的に民俗音楽などに取り組み傑作『グレイス・ランド』などを発表します。

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