ROCK STANDARD  030 THE FIFTH AVENUE BAND
ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています
THE FIFTH AVENUE BAND(1969)


  1. FAST FREIGHT
  2. ONE WAY OR THE OTHER
  3. GOOD LADY OF TORONTO
  4. EDEN ROCK
  5. COUNTRY TIME RHYMES
  6. CALAMITY JANE
  7. NICE FOLKS
  8. COCKEYED SHAME
  9. FAITHFUL BE FAIR
  10. IN HOLLYWOOD
  11. ANGEL
  • PETER GALLWAY : RHYTHUM GUITAR, LEAD VOCALS
  • KENNY ALTMAN : LEAD GUITAR, BASS
  • JERRY BURNHAM : BASS, FLUTE
  • PETE HEYWOOD : DRUMS
  • JON LIND : LEAD VOCALS
  • MURRAY WEINSTOCK : KEYBOARD
1968年に結成され、1969年にたった1枚のアルバムを残して解散したフィフス・アヴェニュー・バンドの名盤です。60年代の末といえばアメリカ西海岸から全土に広がった『フラワー・ムーヴメント』の余韻も覚めやらぬ頃、その時代にアコースティックでクールな作品を発表できたなんて、メンバーのセンスの良さには脱帽です。

このバンドはストレンジャーズ、エイヴォン・ハーバーという二つのバンドが合体する形で結成されています。このアルバムのほとんどの作品を手掛けたピーター・ゴールウェイとケニー・アルトマンは高校からの同級生、その二人にジェリー・バーナムはストレンジャーズというバンドの出身です。もうひとつのグループであるエイヴォン・ハーバーは、第2のラヴィン・スプーンフルと期待されていてシングルを1枚発表しています。ジェリー・バーナムが先にエイヴォン・ハーバーに加入しており、ドラマーとしてピート・ヘイウッドが参加、これに元ストレンジャーズの二人が合流する形でフィフス・アヴェニュー・バンドが誕生します。 ジャズ、R&B、ゴスペル、ロックが渾然一体になったセンス溢れるサウンドは、何回聴いても飽きのこないものです。

スワンプ・ロック風のルーズな曲でアルバムは始まります。次第にリズムが早くなっていき、演奏の切れのよさや絶妙のコーラスが光る曲です。2曲目は、ジャジーなメロウな曲でコンガの音がアクセントになっているラテン・ジャズ的な仕上がりです。カントリー・バラードとウエスト・コースト・サウンドが合体したような3曲目は、スライド・ギターとフルートの音色が郷愁を誘う美しい曲です。4曲目は、都会的な匂いのするジャジーでスリリングな曲です。ここでも、コンガがすばらしい演奏をしています。ゆったりと流れる時間や朝の光、やさしくそよぐ風、その風景が見えるような5曲目は、癒しの名曲。6曲目は、再びサザン・ロック調の曲ですが、土臭さが感じられないところがフィフス・アヴェニュー・バンドのセンスのなせる技でしょうか。名曲ぞろいのアルバムの中でもピカイチの7曲目。リズミカルなジャジーな曲で都会的なクールさがたまりません。気だるい声が印象的でちょっと重ためな8曲目。9曲目は、ギターのアルペジオをバックに歌われるドラマティックな構成の曲です。10曲目は、爽やかさに歌い上げられる美しいメロディとウエスト・コースト風のコーラスがマッチして最高です。最後の曲は、大胆なホーン・セクションの導入と美しいコーラスの構成が楽しいクールな曲です。

この一枚でバンドは解散してしまいますが、各メンバーはソロ活動やプロデューサー作曲家として活動していきます。

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