ROCK STANDARD 030 THE FIFTH AVENUE BAND |
ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています |
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1968年に結成され、1969年にたった1枚のアルバムを残して解散したフィフス・アヴェニュー・バンドの名盤です。60年代の末といえばアメリカ西海岸から全土に広がった『フラワー・ムーヴメント』の余韻も覚めやらぬ頃、その時代にアコースティックでクールな作品を発表できたなんて、メンバーのセンスの良さには脱帽です。 このバンドはストレンジャーズ、エイヴォン・ハーバーという二つのバンドが合体する形で結成されています。このアルバムのほとんどの作品を手掛けたピーター・ゴールウェイとケニー・アルトマンは高校からの同級生、その二人にジェリー・バーナムはストレンジャーズというバンドの出身です。もうひとつのグループであるエイヴォン・ハーバーは、第2のラヴィン・スプーンフルと期待されていてシングルを1枚発表しています。ジェリー・バーナムが先にエイヴォン・ハーバーに加入しており、ドラマーとしてピート・ヘイウッドが参加、これに元ストレンジャーズの二人が合流する形でフィフス・アヴェニュー・バンドが誕生します。 ジャズ、R&B、ゴスペル、ロックが渾然一体になったセンス溢れるサウンドは、何回聴いても飽きのこないものです。 スワンプ・ロック風のルーズな曲でアルバムは始まります。次第にリズムが早くなっていき、演奏の切れのよさや絶妙のコーラスが光る曲です。2曲目は、ジャジーなメロウな曲でコンガの音がアクセントになっているラテン・ジャズ的な仕上がりです。カントリー・バラードとウエスト・コースト・サウンドが合体したような3曲目は、スライド・ギターとフルートの音色が郷愁を誘う美しい曲です。4曲目は、都会的な匂いのするジャジーでスリリングな曲です。ここでも、コンガがすばらしい演奏をしています。ゆったりと流れる時間や朝の光、やさしくそよぐ風、その風景が見えるような5曲目は、癒しの名曲。6曲目は、再びサザン・ロック調の曲ですが、土臭さが感じられないところがフィフス・アヴェニュー・バンドのセンスのなせる技でしょうか。名曲ぞろいのアルバムの中でもピカイチの7曲目。リズミカルなジャジーな曲で都会的なクールさがたまりません。気だるい声が印象的でちょっと重ためな8曲目。9曲目は、ギターのアルペジオをバックに歌われるドラマティックな構成の曲です。10曲目は、爽やかさに歌い上げられる美しいメロディとウエスト・コースト風のコーラスがマッチして最高です。最後の曲は、大胆なホーン・セクションの導入と美しいコーラスの構成が楽しいクールな曲です。 この一枚でバンドは解散してしまいますが、各メンバーはソロ活動やプロデューサー作曲家として活動していきます。 |