ROCK STANDARD 026 SANTANA |
ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています |
![]() 01 ETARNAL CARAVAN OF REINCARNATION 02 WAVES WITHIN 03 LOOK UP(TO SEE WHAT'S COMING DOWN) 04 JUST IN TIME TO SEE THE SUN 05 SONG OF THE WIND 06 ALL THE LOVE OF THE UNIVERSE 07 FUTURE PRIMITIVE 08 STONE FLOWER 09 LA FUENTE DEL RITMO 10 EVERY STEP OF THE WAY CARLOS SANTANA : Guitar NEAL SCHON : Guitar MIKE SHRIEVE : Drums DOUGLAS RAUCH : Bass GREGG ROLIE : Keyboards JAMES MINGOLEWIS : Percussion JOSE CHEPITO AREAS : Bongos, Timbales TOM RATLEY : Acoustic Bass PRODUCED by THE GLIMMER TWINS |
70年代前半、サンタナが迷宮(ラビリンス)へと旅立つ出発点となったアルバムです。といいながら、この作品は名作なのですが、この後が迷作続きになるので、その出発点?と位置付けたいのです。ジョン・マクラフリン、アリス・コルトレーンとの交流の影響によりヒンズー教の導師であるスリ・チンモイへ傾倒、ジャズとのクロス・オーヴァーなど、中途半端に終ってしまう思い入れ。確かに、素人目にもインパクトの薄い時代が続くのです。 私にとっては、このままサンタナは、おぞましいフリー・ジャズのような世界(あまりにも小さい時にフリージャズを経験したので理解できるはずが無い)に行ってしまうのではないかと心配したのでした。ですから、サンタナをはじめから聴かれる方は、次も次も跳ばして『アミーゴ』を聴かれると繋がりが良くなります。 前置きが長くなりました。このアルバムからカルロス・サンタナは、泣きのギターから官能のギターと呼ばれるようになります。独特のギター奏法が確立されたアルバムでもあります。すべての曲がひとつのコンセプトで繋がっており、CDなればこそ、一気に途切れることなく聴く事が出来ます。このアルバムの特徴は、もちろんすばらしいカルロスのギターですが、この作品から参加したベーシストのダグラス・ローチの活躍も見逃せません。神秘の世界へ飛んでいきそうになるところを、彼のファンキーなベースが現実の世界へ引き戻してくれます。 静かな闇の世界に響くコウロギの鳴き声から始まります。そこにサックスの音が重なりフリー・ジャズ的な展開になっていきます。やさしく奏でられる楽器の音が印象に残る曲です。続くように始まる2曲目は、力強いギターとパーカッションがドラマチックに曲を盛り上げます。カルロスの奥から響いてくるニール・ショーンのギター・ワークも聴き逃せません。3曲目は、ファンキーなナンバーでベースのダグラス・ローチとグレッグ・ローリーのプレイがギターの好サポートをしています。続いて演奏される4曲目は、ハードなブルース色の強い曲です。5曲目は、題名のとおり、やさしい風のように爽やかな曲です。ドラムとコンガ、それにベースのリズム隊がいい味出してます。時折、流れる風を意識したグレッグ・ローリーのオルガンも印象的です。落ち着きのある曲です。A面最後の6曲目は、前半部のアコースティック・ベースが印象的な曲ですが、途中何度も曲調が変化する楽しい曲です。後半部はエレクトリック・ベースが印象的です。 B面最初の7曲目には、カルロス、グレッグ、ニールは参加しておらずパーカッション主体の官能的な曲です。重なるように始まる8曲目は、アコースティック・ベースのリズムに導かれるように展開されるラテン色の強いサンタナお得意の曲です。ゆったりした感じが何ともいえません。9曲目は、ジャズ色の強いスリリングなラテン・ナンバー。最後の曲は、最大の聴きものといってもいいでしょう。フリー・ジャズ的な展開の中にラテンのリズムが混在しすばらしい世界が広がります。前半部は、ラテンパーカッションを取り除けば、正にダークでヘヴィなキング・クリムゾンそのもののプログレッシヴ(サンタナはいつもプログレッシヴですが)な感じなのです。ロバート・フィリップばりのギターも聴けます。後半部は、ホーンやストリングスの導入もあり、壮大な大ラテン大会として締め括られます。 このアルバムの制作途中で、ニール・ショーン、グレッグ・ローリーが脱退(ジャーニーを結成)するのですが、クレジットのない曲が1曲しかありませんのでアルバム自体への影響は内容に思います。 |