ROCK STANDARD 019 WISHBONE ASH |
ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています |
![]() 01 TIME WAS 02 SOMETIME WORLD 03 BLOWIN' FREE 04 THE KING WILL COME 05 LEAF AND STREAM 06 WARRIOR 07 THROW DOWN THE SWORD ANDREW POWELL : Guitar DAVID TURNEER : Guitar MARTIN TURNEER : Bass Guitar STEVE UPTON : Drums |
日本では、一部のフリーク以外には、なかなか人気の出なかったウィッシュボーン・アッシュの第3作目です。人気がなかったわりには、第1作から11作まで紙ジャケで再発されたのです。潜在的なニーズはあるのかなぁ。再発紙ジャケにはボーナストラックが付いていたので買ってしまいましたが、損はなかったです。音質も格段に上がっているし。と、レコード会社の術中に嵌ったかな? ブリティッシュ・トラッドの香りのする美しいロック・バンドというのが初期(スタジオ録音では4作目まで)のイメージです。そのブリティッシュ・トラッドにアーサー王伝説のような話が結びついて出来上がったのがこのアルバムです。アーサー王伝説の地に隣接する地域の出身だからというのが、その勝手な理由です。もともとは、キーボードを一人探していたらしいのですが、デイヴィッド・タナー(テッド・タナー)に出会い、ツイン・ギターとしてスタートしたみたいです。キーボードを外したことで、美しいコーラスやツイン・ギターが目立っているし、大仰にならずシンプルなロックになっていると思います。 このアルバムの邦題は、『百眼の巨人アーガス』。ギリシャ神話に出てくる怪物で、百眼のうちの2眼はいつも閉じており、他の98眼は開いているという巨人です。その怪物に対する王の活躍を描いたコンセプトアルバムになっています。 アンディ・パウエルがギブソンのフライングV、テッド・タナーがフェンダー・ストラトキャスター、その音色の違いをフルに生かしたツイン・ギターを楽しみましょう。 一曲目は、アコギのバックで美しいフォーク調のコーラスで始まります。まるで、物語の序章のようです。しかし、一転してロック(ちょっとブルージー)へなだれ込みます。ギターのソロあり、ハモりあり、ウィッシュボーン・アッシュの世界へ一直線。2曲目は、美しいメロディーで押さえ気味の始まりですが、途中から激しくスピーディーな展開。ギターはもちろん、マーティン・タナーのメロディアスなベースが最高です。3曲目は、テッド・タナーのスライドギターをフィーチャーした名曲です。ブリティッシュの雰囲気をもちながら、スライドギターのためか洗練された?アメリカ南部の匂いすら漂ってきます。 4曲目からがアナログではB面になります。ツインギターの醍醐味が十二分に味わえます。ワウワウを効果的に使っているテッド・タナーと、ツイン・ギターのリフのハモりがたまりません。5曲目は、抒情詩的な作品で、心に染み渡るほどの美しさです。美しいという言葉を何度も使いますが、それしか形容しようがないのです。6曲目は、ブリティッシュの香りが心地良いフォーク的なアプローチの曲です。ギターの使い方などにプログレッシヴ・ロックを感じますが、キーボードレスであることを感じさせないアプローチで、幅の広さを感じます。最後の曲は、ギター好きにはたまらない曲です。ツインギターによる最高のアンサンブルを聴かせてくれます。最後の言葉も、やっぱり『美しい』。 ヒプノシスのジャケットも、このアルバムのイメージつくりに重要な役割を担っています。外も内も歴史的名盤です。 |