ROCK STANDARD 003 CROSBY,STILLS,NASH & YOUNG |
ROCK STANDARDは、70年代を中心にロックに変革をもたらした名盤・迷盤を紹介しています |
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クロスビー、スティルス&ナッシュにバッファロー・スプリングフィールド時代の仲間ニール・ヤングが合流する形で生まれたバンド。というか、ユニットと言ったほうがいいかもしれません。ウエストコーストのファミリー・ツリーの頂点に立つ人達だし、もともとウエストコーストの人たちが、ファミリー的な付き合いの中でアルバムを制作するというのがあたりまえだったんでしょう。4人それぞれが曲を持ち寄って完成させた割には、妙に統一感があってすばらしいアルバムです。民主的(?)なアルバムの収録曲は、メンバー4人の自作曲がそれぞれ 2曲ずつ、スティルスとヤングの共作曲が 1曲、ジョニ・ミッチェルの曲が 1曲という構成になっています。 個人的にはナッシュ作の「ティーチ・ユア・チルドレン」は、思いで深い曲です。まだ、うぶな頃、イギリス映画の『小さな恋のメロディー』のエンディング・テーマ?(マーク・レスターとトレイシー・ハイドがトロッコに乗って逃げるシーン)に使われていた曲なんです。ちなみに、メインテーマはビージーズの「若葉のころ」だったんです。私も、まだ若葉(若芽かも?)のころだったなぁ〜。 アルバムは、これぞCSN&Yという美しいコーラスで始まり多彩な変化を見せるスティルス作のスリリングな名曲「CARRY ON」で始まります。続く2曲目は、グレートフルデッドのジェリー・ガルシアのペダル・スティール・ギターが印象的な「TEACH〜」、ナッシュが、ホリーズに在籍していたときに書いた作品です。切なさと希望が複雑に絡み合っているほのぼのとした作品です。3曲目は、ドアーズばりの力強さが光るクロスビー作の「CUT MY〜」、ニール・ヤングの人柄がにじみ出ているような4曲目の「HELPLESS」は、内省的な歌詞に物悲しいヤングの声がマッチしており若者の心の叫びといった感じです。70年代の幕開けにふさわしい、5曲目のジョニ・ミッチェル作の名曲「WOODSTOCK」は、ウエスト・コ−スト・ファミリー・ツリーの頂点に君臨する4人が創り上げた最高のウエスト・コースト・ロックです。ジョニ・ミッチェルのエレクトリック・ピアノによる弾き語り のオリジナル・ヴァージョンとは雰囲気が違うパワフルな作品に仕上がっており、この時代を代表する代名詞であるウッドストック・フェスティバルに対する讃歌であるとともに一時代の終焉を告げる作品ともなっています。 タイトル曲でもある6曲目は、クロスビーの作品ですが、3曲目の雰囲気とは打って変わってタイトル通りの幻想的な作品です。ナッシュ作の7曲目は、2曲目同様にナッシュの人柄がにじみ出たような親しみやすい作品です。8曲目は、スティルスの作品でアコギによる弾き語りの作品です。飾り気のないフォークですが、妙に心にしみる曲なのです。9曲目は、ヤング作のドラマティックな作品で、3曲で構成されています。最後の作品は、スティルスとヤングという興味深い二人による共作。スティルス色が若干優っているような感じです。この作品もそうですが、ヤングが参加した作品(彼は、5曲にしか参加していない)は、CS&Nのほのぼのとした雰囲気にエッジの効いたギターで力強さをプラスしています。 69年に開催されたウッドストック、オルタモントのフェスティバルの余韻を楽しむひまもなく、70年には、ビートルズが解散表明、ジミ・ヘンドリック、ジャニス・ジョップリンの相次ぐ死、そういう中でロックは新しい道へ第一歩を踏み出します。その魁として重要なアルバムです。 |